サカキ科のヒサカキやハマヒサカキの花の香りはプロパンガスの臭いのようだと言われてきました。今湾岸地域は植栽されたハマヒサカキの花が咲き、実がつき、プロパンガスの臭いをあちこちで嗅ぐことができます。春に嗅いだヒサカキの花の臭いによく似ています。神道で使われるサカキの花も同じサカキ科で、その花にも似たような臭いがあります。神棚とサカキの花の臭いは両立しないようで、神棚に供える場合は花無しになるようです。神様はサカキの花の臭いより常緑の葉を重視したようです。榊は「さかき」と読み、神と人の境にある木という意味で「境木(さかいき)」から転じたと言われています。 また、「榊」は中国由来の漢字ではなく、日本で生まれた「国字」です。
サカキはツバキ科の常緑樹。神社や家庭の神棚に供えられ、月に2度、1日と15日に取り替えることになっています。子供の頃、祖母が神棚にサカキを備えていたのを憶えています。サカキは東海より南の比較的温暖な地域で生育するため、関東より北の地域では類似種のヒサカキがサカキとして代用されてきました。サカキはヒサカキやハマヒサカキと違い、雄雌同株です。
ヒサカキはサカキが生息しない関東以北の寒冷地方で代用されることが多く、サカキと比べて葉がひと回り小さく、縁にはノコギリのような細かい刻み目が入っています。祖母が神棚に供えていたのがヒサカキかサカキか、残念ながら今ではわかりません。ヒサカキはサカキ科ヒサカキ属の常緑樹です。葉は楕円形でツヤがあり、フチがギザギザしています。サカキは初夏にかけて、ヒサカキは春になると葉の裏側に白い小花を咲かせた後、秋には丸みを帯びた黒い実がなります。
ヒサカキとハマヒサカキは雌雄異株で、雌株に咲く雌花には雌しべ1個のみがあり、花弁は多少紫色を帯びるます。雄株に咲く雄花には雌しべがなく、10~15個の雄しべがあります。また、これら両方の性質を持つ両性花を咲かせる株もあります。花は両種とも径4mm内外と小さく、ヒサカキは3-4月、ハマヒサカキは10-11月に咲くのが普通です。
*最初の画像は今咲いているハマヒサカキの雄花と雌花。縦の雄花は雄しべが目立ち、下に横たわる雌花より大きく、派手に見える。次の画像は雄花だけ。最後の実がついている画像は雌株。