クサギの実の色

 クサギカメムシは身の危険を感じると自己防衛のために悪臭を放ちます。この強い臭いが嫌われる理由ですが、カメムシが分泌する液体は皮膚にも悪影響のあることがわかっています。「クサギカメムシ」という名前はこの虫がクサギ(臭木)に付くことに由来します。クマツヅラ科クサギは実を染料に使ったり、若葉を食用にしたりする低木で、やはり葉に悪臭があることで知られています。

 さて、クサギはその名前とは裏腹に、白い花と瑠璃色の実が多くの人を魅了してきました(画像)。クサギの葉は大きく、長い葉柄を含めて30cmにもなり、柔らかくて薄く、柔らかな毛が密生します。甘い香りがする花は夏に咲き始め、花びらは萼から長く突き出してその先で開きます(画像)。雄しべ、雌しべはその中からさらに突き出し、花弁は白、がくははじめ緑色で、次第に赤くなり、甘い香りがあります。

 クサギの実は瑠璃色の液果で、秋に熟し、赤いがくが開いて残るため、よく目立ちます(画像)。クサギの瑠璃色の実は古くから「常山の実」と言われ、実は青色の染色材料にされてきました。私は湾岸地域でクサギの花と実を見てきましたが、クサギの木の実の青磁色から瑠璃色への幅広い変化を楽しむことができ、色の深さを実感するのです。