「終戦の日」や「終戦記念日」が複数あるように、「守る」にも多様な意味がある。アメリカ海軍の消防車(画像)を何気なく見ると、そこに書かれている「Protecting those who defend America」が目に飛び込んできた。この謂い回しは「守る」ことの違いを見事に表現してくれていた。「アメリカを防衛する人たちを救助する」とでも訳せば、少しは意味が通じるのだろう。
「守る」には様々な意味がある。まずは「defend」。敵の攻撃から味方を守り、時には積極的に敵を攻撃もするという意味であり、日本の自衛隊の英語名は「Japan Self-Defense Forces、略称JSDF」。昭和世代の多くは自衛隊が専守防衛と考えていたが、そうではなくなっていることが名称からもわかる。一方、守り専門でもっぱら保護や救助しかしないのが「protect」。確かに消防車が人を攻撃することはない。
さらに、安全維持のための警護は「guard」。これはガードマンを思い起こせば十分だろう。今はボディーガード(bodyguard)と呼ばれ、警視庁警護課の警護員はセキュリティーポリス(SP)。大切なもの、例えば、命を救うのは「save」。最後に、損傷や危険から守るのが「preserve」。
使われる単語の違いだけを見ても、「守る」は実に多様で、それだけ厄介である。「国を守る」の「defend」は上記の様々な「守る」の中でも極めて積極的な意味をもっている。英語での多様な「守る」のほんの一部を挙げてみたが、現在の私たちは「何かを守る」とはどのような行為、行動だと考えているのだろうか。そして、「国を守る」とは国を何から守り、どのような行動をとることなのだろうか。