ヒオウギ(檜扇、桧扇、日扇)は主に西日本の山野に自生するアヤメ科の多年草で、朝鮮半島や中国、インドにも分布します。7~8月頃、数本に枝分かれした茎の上部にオレンジ色の鮮やかな6弁花をつけます。花びらはほぼ水平に大きく開き、濃い赤の斑点模様が入ります。葉が剣状で、何枚も重なり合って扇を広げたように見えることから「檜扇」となったようで、別名はカラスオウギ。
黒の枕詞に使われる「ぬばたま」はこのヒオウギの種子のことで、種子は丸く、真っ黒でツヤがあるのが特徴。『万葉集』では黒や夜、夕などの枕詞として使われています。
*平安時代の『古語拾遺』によれば、厄災が村を襲った際、ヒノキの薄板を綴じて作った「檜扇」で扇ぐと、村が元通りになったという話があり、その檜扇と似ていることから同じ名前で呼ばれるようになった。ヒオウギは病気にかかりにくく、葉も長持ちするため、魔除けの花とされてきた。そのため、疫病退散を祈願する祇園祭の期間中、京町家の軒先や床の間などに飾られる。
*画像のキリギリスはキリギリス科のヤブキリかクビキリギスと思われる。いずれもヤブキリギリスともクビキリギリスとも呼ばないようである。とはいえ、クビキリギスはクビキリギリスとも呼ぶようで、何とも紛らわしい。
*最後の二枚の画像は「黄竜」で、花びらの斑点が薄い黄色のヒオウギ。