ガクアジサイの花:三つの姿

 花弁 (花びら)の外側の部分が萼(がく)、その一枚が萼片。花弁が退化し、萼弁が花弁の役割を果たしているのがキンポウゲ科アネモネクレマチス、キンポウゲ、シラネアオイ等々で、アジサイ科のアジサイもその一つ。アジサイの花も花びら状のものは萼弁で、本物の花は小さく、目立たない。一方、花弁も萼弁もほとんどなくなり、葉が花弁の役割を担っている植物があり、葉が変化した苞(ほう)が花の代わりをしている。ポインセチアブーゲンビレアミズバショウヤマボウシハナミズキで、本物の小さな花は苞の中心にある。

*なぜ萼や苞が花のように変化したのか。これには系統的な要因が深く関わっているようで、原始的な花は萼と花冠が未分化な同花被花で、そこから萼と花冠が分化した異花被花が派生した。多くの花は異花被花だが、系統群によっては未分化のものもある。

アジサイの花は本物の花「両性花」と萼弁の「装飾花」と2種類があることになる。小さな花々が密集している中央部分に「両性花」がある。周囲を囲うのは「装飾花」。当然ながら、この装飾花は生殖機能を持ち合わせていない。

 今年は昨日やっと梅雨入りとなったが、既にアジサイの花はあちこちで咲いている。ウクライナの平地にはヒマワリが似合うが、アジサイは鎌倉のような起伏のある土地に似合う。ところで、俳句の季語となると、アジサイには様々な呼び名がある。「紫陽花、あぢさゐ、あじさい、四葩(よひら)、額の花、七変化」など。

 

正岡子規 紫陽花や きのふの誠 けふの嘘

三橋鷹女 老境や 四葩を映す 水の底

今井千鶴子 淋しくて 淋しくて雨 額の花

中川悦子 野仏の 顔を隠して 額の花

*「額の花」は「額紫陽花」の省略形、四葩は紫陽花の異名、七変化は紫陽花の別名

*三つ目の姿はガクアジサイの六つの画像