パンセとユウチョウカ

 パンジーは人面草(じんめんそう)とも呼ばれ、派手な模様が気になる人がいますが、私もその一人です。面は人心を捉え、恐れを抱かせるもので、鬼の面はその代表でしょう。人面を想像させない、控えめな模様しかないパンジーは哲学的な思索に向いていて、思索の冬の花になると勝手に思っています。

 パンジーの和名「サンシキスミレ(三色菫)」は学名の「ビオラトリコロル」に由来し、それは花びらが白・黄・紫の3色で彩られていたことによります。「パンジー」はフランス語では「パンセ(思索、物思い)」。

 日本では花びらの形が蝶の姿を連想させることから「ユウチョウカ(遊蝶花)」や「コチョウスミレ(胡蝶菫)」という呼び名が生まれ、俳句の世界で使われてきました。

 

遊蝶花などと明治の文人よ  山口青邨