ノブドウとヤマブドウの実:「食べる、飲む、見る」楽しみ

 ノブドウ(野葡萄)はノブドウ属の蔓性落葉低木で、イヌブドウ、カラスブドウとも呼ばれるのはヤマブドウに劣るとしてつけられた名前である。その実は熟すと白色、あるいは光沢のある青色や紫色などに色づく。白い実が本来の実の色で、青色や紫色の実は虫が寄生している寄生果。ブドウタマバエやブドウトガリバチの幼虫が寄生して、虫えいを作ることが多く、紫色や碧色になり、むしろ正常な果実は少ない。ほとんどの実にタマバエの幼虫が寄生していて、食べられない。だが、この色の変化が実に見事で、私たちに「見る楽しみ」を与えてくれる。

 ヤマブドウ(山葡萄)もブドウ属の蔓性落葉低木で、別名はエビカズラ。日本の野生ブドウの代表で、巻きひげを伸ばして、成長すると20mを超える蔓になる。雌雄異株で、たくさんの実をつけ、生で食べることができる。ヤマブドウは一般的なブドウよりも栄養豊富で、アントシアニンポリフェノール、鉄分、ビタミンCを豊富に含んでいる。「食べる楽しみ」を与えてくれるのがヤマブドウ

 ブドウとなればワインだが、最近は野生種のヤマブドウとヨーロッパ系ブドウ品種などの交配で、優れたワイン用ブドウ品種が誕生している。例えば、ヤマブドウとフランス種の「カベルネ・ソーヴィニヨン」を交配させた「ヤマ・ソーヴィニヨン」。カベルネ・ソーヴィニヨンは日本の気候風土では栽培が難しい品種だが、ヤマブドウとの交配で日本での栽培が可能になり、「飲む楽しみ」が倍加した。

ノブドウ

ノブドウ

ノブドウ

ヤマブドウ