ヒメリンゴの青い実を愛でる

 5月末には既に青い実がついていたのだが、10月に入ってもその実はまだ青いままで、普通のリンゴとは随分違っているのがヒメリンゴ。近くの学校のグラウンド横に何本も植えられていて、綺麗な花と渋く苦い味のする青い実を今もつけている。この年齢になると、ヒメリンゴの実の味などどうでもよく、古い記憶の中のヒメリンゴを身近に再見できるだけで、妙に懐かしく、嬉しい気持ちになる。そして、それが半年以上続くのである。

 ヒメリンゴと呼ばれるものの一つが中国原産のイヌリンゴ(犬林檎)、もう一つはそのイヌリンゴとエゾノコリンゴの交雑種。いずれであれ、バラ科リンゴ属の落葉高木。この他に、ズミとリンゴとの雑種という説もあり、素人の私は戸惑うしかない。

 果実は球形で直径が2~2.5cm。熟すと黄色から紅色になるのだが、5月につけた実はなかなか赤くならない。人が食べるための実というより、鑑賞用の実ということになる。食べるための花があるのだから、見るための実があってもおかしくないだろう。