二つのボロギク

 ダンドボロギク(段戸襤褸菊)が野生種で、パイオニア植物だと述べました。英名はfire weedで、その意味は「山火事などで地面が焼けた後、ほかの植物よりも早く生えて群れを成す雑草」でした。

 ノボロギクも同じ帰化植物で、日本全国に広く自生し、花の後に真っ白な綿毛をつけるのはダントボロギクと同じです(画像)。「ボロギク(襤褸菊)」と呼ばれ、名前のとおり野生のキクです。いずれも花びらのない、帽子をかぶったような黄色い花と、花穂の下の方に黒いギザギザのような小さい受け皿部分があるのが特徴です。花の中央の黄色い部分には筒状花といわれる小さな花が集まっています。

 二つのボロギクに見られるように、野生種の方が類似のものが多く、互いに共存している場合が目につきます。様々な点で似ていることは似た適応度をもち、僅かな違いによって変化する自然に共に立ち向かっていることが窺えます。でも、園芸種は人為選択の典型例であり、農産物と並んで、人の管理によってその生存や生産量が決まってきます。人為選択と自然選択の関係を考える上で、農産物や園芸植物と野草や雑草との関係は様々な点から対照的な特徴を示してくれます。そのような対比さえ、広義の自然選択であり、興味深い特徴を想像できます。

*二つのボロギクの外観はよく似ていますが、ノボロギクにはピロリジジンアルカロイドというアルカロイドが含まれ誤食すると肝臓を害し、重篤な場合は死に至ります。一方、ダンドボロギクの葉は食用にでき、シュンギクによく似た味と香りがします。

ダンドボロギク

ノボロギク

ノボロギク