トレニアの花

 トレニアはツルウリクサ属に分類される一年草もしくは多年草で、東南アジアからアフリカの広い地域に分布している。

 トレニアの唇形をした花は初夏から晩秋までの長い間楽しむことができる。別名の「ハナウリクサ(花瓜草)」は、果実の形をマクワウリに喩えた命名。一方、花姿がスミレに似ていることから、「ナツスミレ(夏菫)」という和名もつけられ、トレニアの花と実のどれに注目するかによって、名前が変わる。

 べっとりした暑い日、トレニアはその蒸し暑さを一瞬忘れさせてくれる。きっと蒸し暑さだけでなく、この世の苦もその花姿で忘れさせてくれるのではないか。そんな風に思わせるのがトレニアの花の凄さであるが、それはほんの一瞬で、すぐ蒸し暑さや苦に引き戻されるのもまた現実である。