トケイソウの時計のような花

 いつ見ても、トケイソウの花の造形には驚かされる。フェンスに蔓が巻きつき、丸い時計の文字盤のような花が幾つも見え、それは精巧で壮観でさえある。デカルトの時代の機械論の象徴は時計だったが、トケイソウの花は美しい花というより、私などはデカルト風「植物機械論」を連想してしまうのである(若者たちは時計など連想しないだろう)。

 トケイソウ(時計草、パッションフラワー(Passion flower))はトケイソウ属に分類される植物の総称で、種の数は何と500を超える。その上、栽培種には様々な色、形がある。トケイソウには萼片と花弁がそれぞれ5枚ずつあり、同じ色と形なので10枚の花びらがあるように見える(画像)。色は白が多いが、ピンクが交じったものなど様々。

 日本へは江戸時代初期に渡来。英名パッションフラワーのPassionは「キリストの受難」を意味するが、花の形を十字架にかけられたキリストに見立てたもの。蛇足ながら、トケイソウ属の中には果樹栽培用のものがあり、その果実がパッションフルーツ(Passion fruit)。