チョウセンアサガオの花と実

 チョウセンアサガオは花の形がアサガオに似ているところから命名されたようだが、ヒルガオ科ではなく、ナス科の植物。チョウセンアサガオは別名が曼陀羅華(マンダラゲ)で、熱帯アジア原産の一年草。画像のように一重の白花が一般的だが、八重咲で紫色や黄色のものもある。全体に軟らかい毛が密集するケチョウセンアサガオや、アメリカ原産で鋸歯状の葉が特徴的なヨウシュチョウセンアサガオなどが知られている。さらに、キダチチョウセンアサガオ属は1973年にチョウセンアサガオ属から分離したもので、花が下向きに咲き、園芸では「ダチュラ」とか「エンジェルトランペット」の英名で呼ばれている。

 チョウセンアサガオ属やキダチチョウセンアサガオ属の植物は世界中に広く分布し、人々に古くから利用されてきた。インド、イラク、モロッコなどでは伝統的な薬として下痢や鼻かぜ,火傷,傷,消毒などに使われ、古代のアメリカ原住民には薬としての利用のほかに儀式のための幻覚薬として利用されてきた。生薬としては全草を曼陀羅華(マンダラゲ)やダツラ、種子を曼陀羅子(マンダラシ)やダツラシ、乾燥葉を曼陀羅葉(マンダラヨウ)などと称し、咳やぜんそくの治療薬として用いられてきた。

 チョウセンアサガオは中国経由で江戸時代に薬草として渡来した。それを使った麻酔薬「麻沸散」(通仙散とも言われる)を完成させ、1804年に世界に先駆けて全身麻酔下での乳がん手術を成功させたのが華岡青洲である(食べたら死に至るほどの猛毒)。

 昨年、画像のチョウセンアサガオを見たのだが、その同定ができずにずっと気になってきた。キダチチョウセンアサガオとは随分違うので、チョウセンアサガオとは思いつかなかった。とてもきれいな白色の花に魅了された。