サルスベリと百日紅

 江戸時代に渡来したサルスベリミソハギ科の落葉中高木で、別名はヒャクジツコウ。木登りが上手なサルでも、滑り落ちるほど樹皮が滑らかということから名付けられている。花が咲く期間が長いことから、百日紅で、漢名もまた百日紅サルスベリは「猿滑」、「百日紅」、「紫薇(しび)」などと書く。画像は移植されたばかりのサルスベリの大木で、木全体が花盛りの状態。湾岸地域の普通のサルスベリはまだ花をつけていない。

 ところで、「百日紅」という字の由来と「さるすべり」という呼び方の由来はまったく別モノ。「百日紅」を「さるすべり」と読むのは「熟字訓(じゅくじくん)」と言われる読み方で、熟字訓は漢字1字に読み方をあてるのではなく、熟字(2字以上の漢字の組み合わせ)に訓読みをあてた読み方。熟字に訓読みをあてた熟字訓は熟字(2字以上の漢字の組み合わせ)に読み方があてられているため、漢字単体に読み方が振り分けられていない。そのため、「百日紅さるすべり)」に用いられている「百」は「さる」、「日」は「す」、「紅」は「べり」と読むことはできない。

 熟字訓とはいい加減と当意即妙、頓智と機知の紙一重の工夫のようである。既に咲き出している「千日紅」は「センニチコウ」と読む。