ナンテンの花

 ナンテン茨城県以西の本州、四国及び九州に分布するメギ科ナンテン属の常緑低木。和風庭園の定番で、赤い果実や紅葉を観賞するため、庭木、盆栽、正月の床飾りなどに多用される。だが、その花は目立たない。ナンテンなら赤い実ということになっていて、誰もナンテンの花など気にしない。そのナンテンの花が咲いている。

 ナンテンという名前は、中国名で食堂の灯りを意味する「南天燭(ナンテンチュー)」に由来し、果実に野鳥が集まることを意味するという説がある。日本では漢字の読みが「難転」に通じるという語呂合わせにより、江戸時代から縁起の良い木とされ、火災除けや魔除けのため玄関先、トイレ付近、鬼門の方角に植えられた。 

 ナンテンの開花は初夏で、枝先に伸びた円錐状の花序に、白い小花が多数集まって咲く。花は長さ6ミリほどで雌しべの周りに6個の雄しべがあり、その先端にある葯は黄色い。