カジイチゴの実

 カジイチゴの英語名はなく、正に日本原産のローカルな木いちごです。カジイチゴはバラ科なのに成長するとトゲがなくなります。葉はアシタバに似ていて、春に白い五弁の豪華な花が咲き(画像)、初夏に橙色の実がつきます(画像)。

 この実が結構甘く、摘まんで食べることができます。野生のイチゴの味は素朴で、単純だとつい思いがちなのだが、カジイチゴの実はサッカリンのような人工的な甘みをもっていて、そのためか何個も食べる気にはなりません。野生のイチゴの甘みが人工甘味料のようだとなれば、何とも興覚めということになるのですが、人の味覚の方が実は不自然なものなのかも知れません。となれば、カジイチゴの甘みこそが自然的で、近年の様々なイチゴ園芸種の洗練された甘みは不自然な甘みということになります。

 このような話をさらに進めると、私たちの五感と他の動物のそれは違っていて、人間だけがもつ独特の感覚や感性は、他の動物の感性や感覚が自然的なものだとすれば、当然不自然なものということになります。人間の本性(Human Nature)は他の動物とは違うという意味で、不自然であり、それが人間の宿命だと考えれてきた理由なのかも知れません。