アオダモの花

 よく見かけるスモークツリーかと思って近づくと、全体の様子が違う。花をつけ出したヒトツバタゴでもない。花の大きさはとても小さく、5ミリ前後。調べてみると、モクセイ科トネリコ属のアオダモ。高さは3mほどの若木で、成長すると10mほどになる落葉高木。4~5月に枝先の円錐花序に白い小さな花を多数つける。
 昭和世代の私は、「アオダモ」と聞くと野球のバットを思い出す。アオダモは漢字で書くと「青梻」。アオダモの花は白で、特に見た目は青と関係なさそうで、樹皮が青くなるからと言われている。アオダモの樹皮は濡れると緑に変化する(交通信号の青と緑色を思い出してしまう)。
 さらに、アオダモの花は少し変わった特徴がある。アオダモの両性花には雌しべと2本の雄しべがある。ところが、雄花には雌しべがなく、2本の雄しべだけ。雄性花のみをつける個体と両性花のみをつける個体があり、画像は雄性花のみの個体。植物の性は動物よりずっと多様で複雑、そこから長い進化の結果であることが窺える。