シデコブシ(四手辛夷)の花

 コブシやハクモクレンの次がシデコブシで、モクレンモクレン属の落葉小高木。やはり今花盛りである。和名は花の形がコブシに似ていて、多数の花被片が白く細長く伸びている様子が「しで(紙垂、四手; しめ縄や玉串につける紙)」のように見えることに由来する。画像を見ると、たくさんの紙垂が際限なく下がっているようで、派手に見える。

 シデコブシはかつて中国原産と考えられていたが、伊勢湾を中心とした里山や丘陵地の湿地で限定的に分化したことが判明した。だが、自生地は開発が進むにつれて狭まり、現代では野生種の絶滅が危惧される。環境省レッドリスト(2007)では、準絶滅危惧(NT)に登録されている。

 通常は花びらが12~18枚ほどある。英名「スターマグノリア」は星形の花が咲くモクレンの仲間という意味合いで、日本語より分かりやすい。開花は3~4月で、やはり葉が出る前に花が咲く。花には微香があり、色は白が普通だが個体差が見られ、薄紅色のものもある。茶庭から洋風庭園まで幅広く使われる。

 花の後にはコブシと同じ果実ができる。コブシという名は果実あるいは蕾の形を人の握りコブシになぞらえたもの。果実は袋状の小さな果実の集合体で、10月頃に熟すと自然に裂け、赤い種子がこぼれ落ちる。葉の形はコブシと同様で、長さは5~10センチほど。枝から互い違いに生じ、ごく短い葉柄がある。

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