早春のミツマタ

 ミツマタ(三椏)は落葉性の低木で、ジンチョウゲ科のミツマタ属。中国中南部、ヒマラヤ地方が原産地で、三つ叉(また)に分かれた枝の先に黄色い花を咲かせる。ミツマタは新葉が芽吹く前の枝先に花だけが開花する。下向きに咲く花には芳香があるが、花弁はなく、花弁のように見えるのは筒状の萼の先端が四つに裂けて反り返ったもの。赤い花のミツマタもあり、それは赤花三叉(あかばなみつまた)と呼ばれる(画像)。

 平安時代に愛用された斐紙(ひし、雁皮紙)の原料であるガンピ(雁皮)も、ミツマタと同じジンチョウゲ科に属する。ミツマタを原料とした紙も斐紙(ひし)と呼び、そのため近世まで文献にミツマタという名がなかったが、後に製紙技術が進、ガンピとミツマタを識別するようになったと言われている。ということから、ミツマタの渡来時期が万葉時代以前なのか、16世紀なのかは定かではない。そんな詮索は横に置き、2月末からミツマタの枝先が気になって仕方ない。そして、今年も咲き始め出している。

*最後の二つの画像は昨年のものである。

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