ヌルデハイボケフシ

 子供の頃あちこちにヌルデが自生していて、祖父母からはかぶれるから触らないように注意されていました。子供の私はウルシそのものだと思い込んで、触らないようにしていたのですが、それがウルシではなく、ヌルデだと知るのは大人になって暫くしてからでした。特に、ヌルデハイボケフシのついた葉は、その葉と同じように皮膚が炎症を起こすと信じ込んでいたのです。そのためか、今でもヌルデハイボケフシのついた葉を見ると思わず身を引いてしまいます。

 ウルシ科のヌルデは山地の暖かいところに自生しています。ウルシやハゼほどはかぶれません。花は泡を吹いたような形で、秋(9月頃)に咲きます。葉はいくつにも分岐し、葉軸に、葉と同じ緑色の翼が発達しています。「ヌリデ」、「ヌデ」とも呼ばれます。

*ヌルデハイボケフシはヌルデフシダニによって葉に作られるフシダニの「えい」です。葉の表面にいぼのようにふくらみ、葉裏はへこんで白い毛が密生し、その中にダニがいます。 ヌルデの虫えい(虫こぶ)としては葉の軸に形成される大きな虫えいが有名で、これはヌルデミミフシと呼ばれますが、昔からの呼称である五倍子(ごばいし)の名の方が広く知られています。一方、画像のように葉にイボ状の虫えいを多数つけるのがヌルデハイボケフシで、五倍子よりもはるかによく見ることができます。

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