国別獲得メダルランキング

 オリンピックではいつも国別の獲得メダルランキングが新聞紙上だけでなく、あちこちで取り上げられてきました。私も子供の頃から日本のメダル獲得数が少ないことに何度もがっかりしたことを憶えています。今回のオリンピックでは連日のメダル奪取で、確認する必要もなかったのですが、中国がメダル獲得総数で順位をつけるアメリカに対して金メダル獲得数で順位をつけるべきだと抗議したのです。最終日にその結果がどうなったか、私は外野から確認してみたくなり、ランキング表を確認したのです。すると、なんと金メダル数でもメダル総数でもアメリカガ最終日に逆転してトップになっていたのです。

 金メダル総数の順位はアメリカ、中国、日本の順で、なんとGDP国内総生産)の順位と同じなのです。そこで、ランキング表を上から下まで見てみることにしました。

 ランキング表を最後まで見ると、金メダルを1個以上勝ち取った国は63、メダルを1個以上取った国は86、メダルなしの国が120であることがわかります。メダル獲得数が多い国ほどGDPの値が高く、メダルなしの国のGDP値が低いことは明白で、メダル数とGDP値の間に強い相関のあることが一目瞭然で、その理由はほぼ誰にもわかる筈です。そして、メダル獲得数が強く偏っていることもはっきりわかります。

 参加国が206で、その120がメダルなしなのです。これは「参加することに意義がある」というオリンピック精神を表現する皮肉な証拠なのかも知れませんが、学校の体育祭や運動会の場合とは随分と違っていて、参加することとメダルを獲得することの間の距離が実に大きいのです。

 スポーツを通じて世界の平和を実現するにはプロのスポーツ選手の競争至上主義では不十分なのはほぼ明らかです。今回メダルなしの国が、次のオリンピックから多くのメダルを獲得できる形を真剣に考えようとすれば、既成のスポーツを大胆に見直す必要があります。