セイヨウニンジンボクの花

 セイヨウニンジンボクはシソ科に属し、ハーブとして用いられるだけでなく、見た目が似ていることからコショウの代わりとしても使用されていた。唇の形をした淡い紫色の小さな花を夏から秋にかけて穂状に咲かせる(画像)。日本には明治時代に渡来。葉がチョウセンニンジンに似ていることから中国原産のニンジンボクに原産地をつけてこの名がついた。ニンジンボクが小葉3〜5枚なのに対し、セイヨウニンジンボクは小葉が5〜7枚で、葉にも微かな芳香がある。派手さはないが、青紫の花が涼しげな印象を与える。画像のように細長い葉が集合し、手の平のような形になっているのが特徴。花のない時も観葉植物として楽しめるため、現代風の庭では好まれる。花の色は淡いブルー、ピンク又は白色で、花の少ない時期に重宝される。

 植物はほぼ自給自足に近く、そのためか安定した形態には美しさが宿る。動物は運動して栄養を摂らねばならず、運動の美しさを持っている。画家は植物と動物を並べて描くとき、何に苦労するのだろうか。植物と動物のエッセンスは違い、それゆえ、二つの美は相容れない。その美を一つの画面に描き分けるのは簡単ではない。だから、画家は打算的にいずれかを主に描き、他を従として描く。撮る場合は違っていて、カメラは植物と動物を区別しない。というより、カメラは区別できない。だが、二つは違う生き様を持ち、それゆえ、画家は二つの違いが無視できなく、それゆえ、それぞれを描き分けるしか手はないのである。

 こんな妄想は全く私的なもので、実際の画面には二つの生き物が立派に描かれている。だが、それはトリックに過ぎず、二つの存在は生活世界ではまるで異なっていて、一つの画面に集めて描くことは偶然の一致に過ぎず、二つの存在が共存する理由は歴史を辿ってみないとわからない、と夢想は続く。

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