ニオイバンマツリ、ハコネウツギ、そしてスイカズラの花たち

 ニオイバンマツリ(匂蕃茉莉)は、ナス科の常緑樹で、南アフリカ原産。5月に入り、花が咲き出しました。漏斗状の花弁で5弁に開きます。花は咲き始めが濃い紫色で、次に薄い紫色、最後は白色に変わり、強い芳香があります。和名の匂蕃茉莉は、匂(香り)があり、蕃(外国)からの、茉莉(ジャスミン類)の意味。ニオイバンマツリの最大の特徴は、花の色が初めは濃い紫ですがやがて白に変わっていくところ。紫と白の色合いはとても上品で、数十メートル先までニオイバンマツリの香りが漂います。香りは、昼間より夜間のほうが強くなります。

 ハコネウツギ(箱根空木)はスイカズラ科の植物で、花期は5〜6月頃で漏斗状の花を咲かせます。こちらもあちこちで花をつけています。ハコネウツギの花は白が次第に赤へと変化していきます。つぼみのときは白ですが、次第に赤色に変わっていきます。

 同じスイカズラ科のスイカズラも咲き出しました。スイカズラは山地に生育する半落葉ツル性木本で、花期はやはり5~6月です。別名は「キンギンカ(金銀花)」ですが、初め白色の花がだんだんと黄色くなるので、金色と銀色の花が混じって咲くように見えることから命名されました。また、冬にも葉が落ちないことから、忍冬(ニンドウ)とも呼ばれます。

 ニオイバンマツリ、ハコネウツギスイカズラも二色の花が咲いているように見えながら、実はそうではなく、花の色がある色から別の色へと変わっていたのです。これは時間をかけて観察を続けないとわからないことで、感覚が信用できないのではなく、時間を置いた観察を続け、その時々の感覚を信用することによって手に入れることができる知識です。それがわかれば、「どうして一つの木に色の違う花が咲くのか」という疑問への「源平咲き」といった答えはこれら三種には誤りで、「どうして花の色は時間の経過とともに変わるのか」という問いが適切だということになります。

 ハコネウツギスイカズラは何度も見ていたので、花の色が変わると直感していたのですが、白から赤か、あるいはその反対かは気にしませんでした。ニオイバンマツリに至っては当初源平咲きの例かと盲信していました。素人の恐いところです。

 「感覚が信用できない」、「感覚が信用できる」はどのように私たちが感覚を使うか次第で、それこそが感覚の両面であり、知識と感覚の結びつき方に依存しているのです。

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ニオイバンマツリ

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ニオイバンマツリ

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ニオイバンマツリ

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ニオイバンマツリ

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ニオイバンマツリ

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ハコネウツギ

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ハコネウツギ

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スイカズラ

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スイカズラ