ハクチョウゲ(白丁花)の花

 一見するとイヌツゲのようだが、初夏に緑の葉の上に雪が降ったように小さな花を咲かせるのがハクチョウゲ。花は一重で直径は1cmほど。花の先端は5つに裂け、外側には淡い紫色が入る。庭園や公園などに広く植栽されている。根元からよく分枝して株となり、あまり太くならない。刈り込みに強く、球造りや生け垣などに仕立てられることが多い。葉は長さ1~3cmで、やや厚く、斑入りのものがよく植栽されている。

 沖縄、台湾、東南アジア等を原産とする常緑低木で、元禄年間以前から本州でも園芸用に使われるようになった。熊野川四万十川の流域に自生する同じアカネ科の落葉低木「シチョウゲ(紫丁花・イワハギ)」に対してハクチョウゲ(白丁花)と名付けられた。「白い丁型の花が咲く」ことが命名の理由。茎葉及び根は肝臓やのどの痛みを和らげる作用があるとして漢方薬に使われる。

 ツゲはイヌツゲに似る。イヌツゲはハクチョウゲに似る。だから、ツゲはハクチョウゲに似る、とはならず、ツゲとハクチョウゲは似ていない。「AはBに似る。BはCに似る。だから、AはCに似る。」とはならない理由は、「最初の二つの言明の「似る」が違う意味をもっているからである。最初は形が似る、次は花が似るのかも知れず、そうなら「似る」は推移的ではないのだ(実際のところ、イヌツゲとハクチョウゲの花は似ていない)。こんなことを改めて確認するとは…職業病の名残か、それとも三つ子の魂か。

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