ベニシタン、あるいはコトネアスター

 コトネアスターはベニシタン(Cotoneaster horizontalis)の別名として使われるが、今ではシャリントウ属の総称として使われる場合が多い。例えば、盆栽界ではベニシタン(紅紫檀)やシロシタン(白紫檀)が定番だったが、新たな品種が増え、まとめてコトネアスターと呼ぶようになってきた。

 ベニシタンは、中国西部山岳地帯原産で、バラ科シャリン属の半常緑低木。暖地では常緑となり、寒地では落葉樹となる。寒さに強く、また果実(画像)や紅葉が美しく、庭園樹として人気が高い。樹高は50cm〜1mで、9月から果実が赤くなる。ベニシタンは赤色の果実と枝が横に広がる樹形で、よく栽培され、そのため、近年は果実がより美しい園芸品種が普及している。

 生物種(species)の学名と園芸種の品種名の違いはとても紛らわしく、さらに、日本語への翻訳は中国由来、ヨーロッパ由来で異なっている。ベニシタンとコトネアスターもそのような例の一つで、慎重に検討すると、言語哲学で見落としてきた事柄が必ずや幾つも見つかる筈である。例えば、自然種(Natural kind)人工物(Artifact)の違いを考察する時に、それらの命名とその経緯に関して役立つのではないか。

*画像はベニシタンの実(10-1月)と花(5月)

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