「おまん」雑考

 夏目雅子主演の映画「鬼龍院花子の生涯」の「わては高知の侠客、鬼龍院政五郎の、鬼政の娘じゃき、なめたら、なめたらいかんぜよ!」は、映画の最高の場面での最高のセリフ。土佐弁での「おまん」は、男が女に対して使う場合がほとんどで、目上に対しては使わず、目下か同輩に使う。上越地方では、あなた →「おまん」や「わー」、あなたたち → 「おまんた」や「うぇら」。

 「おまん」の複数形は上越では「おまんた」だが、土佐では使わない。「スケバン刑事」でも「龍馬伝」でも複数形は「おまんら」。「おまはん」、「おまはんら」も使われてきたが、これらは大阪の遊里語だった。茨城の方言の「おまん」は上越の「おまん」と同じだが、「おまはん」の省略形らしい。

 京ことばだと「おまん」は饅頭のことで、これは大阪弁も同じ。こちらは女性器の名前になったようだ。