青の形而上学へ:天の青、地の青、海の青

 空は青く、heavenly blue。海は青く、marine blue。そして、地のソライロアサガオの別名はHeavenly Blue。夏から秋に向けての青色が天にも地にも、さらには海にも永く続くことが多くの人たちによって求められ、そのための自然保護が不可欠になっている。誰もが望むのは地球がこれまでのように青いままであること。

 私たちが生活の中で青を求め、守るのは、感覚的な欲望なのか、知識の要請なのか。そんな問いが思い浮かぶのは、両者がどのように絡み合っているのかの一端をこれまで二回にわたって述べた話で垣間見えたのではないか。

 私たちを動かすきっかけ、発端となるのは私たちの欲望であり、それが感覚のもつ能力。知識やそれを使った理屈は私たちの行為の説明にはなるが、それだけでは行為の原因にはなりにくい。欲求や願望は知識や理屈ではなく、それらを使うためのエネルギーになっている。青が好きで、青を求める感覚や欲求が駆動力になって、知識が探求され、利用され、青が望む形で実現されることになる。探求される知識は青の化学としてまとめられ、欲求実現のための手段として活用される。

 そんな形而上学を具体的に示す好例が青を表現する顔料ではないだろうか。人気の高いフェルメールの絵に使われたラピスラズリ北斎や広重の浮世絵のプルシャン・ブルーは私たちを惹きつけてきた。

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