我が青春のファンタジー、そしてSF

 私が大学生の頃に衝撃を受け、夢中になった作家たちと言えば、高校までの模範的な作家とは随分と違っていた。小説を読まなくなったということもあるが、自ら漁るというより、たまたま手許にあるものを偶然に読んだという方が正しいのだろう。受動的な読書であっても、積極的に探索し、熱心に読んだものよりずっと大きな刺激になることがしばしばあるが、それは文学だけでなく、美術や音楽でも同じことだろう。
 偶然の出会いがその後の人生を左右するという点では、小説も友人も似たようなもの。どれほど私の人生を左右したかは定かではないが、今でも強く記憶にある作家が次の3名。いずれの作家も偶然にもイギリスの作家で、私の青春の作家たちである。勝手に作品の幾つかを(統一のない文献表記のまま)挙げておく。


1ブライアン・ウィルソン・オールディス, OBE(Brian Wilson Aldiss OBE、1925-2017)
イギリスの小説家。SF作家、評論家。別名=C・C・シャックルトン (C. C. Shacklton)。J. G. Balladeとともに、イギリス・ニュー・ウェーブSFの中心人物の一人。
• 『地球の長い午後』The Long Afternoon of Earth、1961
• 『暗い光年』The Dark-Light-Years、1964
• 『子供の消えた惑星』(『グレイベアド』) Greybeard、1964
• 『虚構の大地』 Earthworks、1965
• 『隠生代』 Cryptozoic!、1967
• 『世界Aの報告書』 Report on Probability A、1968
• 『解放されたフランケンシュタイン』 Frankenstein Unbound、1973
• 『マラキア・タペストリ』 The Malacia Tapestry、1976

2ジェームズ・グレアム・バラード(James Graham Ballard, 1930-2009)は、上海生まれのイギリスの小説家、SF作家。
• The Wind From Nowhere(1962) 『狂風世界』 
• The Drowned World(1962) 『沈んだ世界』 
• The Burning World(1965) 『燃える世界』 
• The Crystal World(1966) 『結晶世界』 
• Crash (1973 novel)|Crash(1973) 『クラッシュ』 
• Concrete Island(1974) 『コンクリート・アイランド』 
• High Rise(1975) 『ハイライズ』 
• The Unlimited Dream Company 1980年イギリスSF協会賞受賞(1979) 『夢幻会社』 

3コリン・ウィルソン(Colin Wilson, 1931-2013)は、イギリスの小説家、評論家。
• The Outsider (Victor Gollancz,London 1956)
アウトサイダー福田恆存・中村保男訳、紀伊國屋書店、1957
 中村保男訳、集英社文庫、1988(改訳版)/中公文庫(上下) 2012.12
• Religion and the Rebel (Victor Gollanz,London 1957)
『続アウトサイダー』中村保男訳、紀伊國屋書店、1958
改題版 『アウトサイダーを超えて』 同上 竹内書店 1966
• The Age of Defeat (Victor Gollancz,London 1959)
『敗北の時代』 丸谷才一訳 新潮社 1959
• Ritual in the Dark (Victor Gollancz,London 1959)
『暗黒のまつり』 中村保男訳 新潮社 1960
• Encyclopedia of Murder (Victor Gollancz,London 1960)
『殺人百科』パトリシア・ピットマン共著(1961)大庭忠男訳 弥生書房 1963
• Origins of the Sexual Impulse (Arthur Barker,London 1963)
『性の衝動 新実存主義への道』 大竹勝訳 竹内書店 1964
小説
• The Glass Cage(1966)『ガラスの檻』 中村保男訳 新潮社 1967
• The Mind Parasites(1967)『精神寄生体』 小倉多加志訳 早川書房 1969 のち学研M文庫
• The Philosopher's Stone(1969)『賢者の石』 中村保男訳 創元推理文庫、1971
• The God of Labyrinth(1969)『迷宮の神』 大龍啓裕訳  サンリオSF文庫 1980