イチジクの実

 イチジクは無花果、映日果と書かれるクワ科イチジク属の落葉高木で、私たちのその果実をイチジクと呼ぶ。原産地はアラビア南部。日本には1591年ポルトガルから天草に伝えられ、はじめ「唐柿(からがき)」、「蓬莱柿(ほうらいし)」、「南蛮柿(なんばんがき)」、「唐枇杷(とうびわ)」などと呼ばれた。

 私が子供の頃はどの家にも柿と並んでイチジクがあって、子供には嬉しいおやつになっていた。イチジクを切ったときに出てくる白い液体には悩まされたが、これはフィシンというタンパク質分解酵素で、侵入してくる細菌を殺すためにある。

 「無花果」は「実がなるのに花がない」という意味だが、そんなことは不可能。イチジクの花は実の中で咲くので、外からは見えないだけのこと。原産地では、イチジクコバチと呼ばれる小さなハチが、イチジクのおしりに開いている小さな穴から入り込んで、中に卵を産む。幼虫はそこで成長し、体に花粉を付けて外に出てくる。そして、ほかのイチジクに飛んで行き、産卵する。このときに、体に付けた花粉をイチジクの花に付けるので、イチジクは受粉できるという仕組み。日本で栽培されているイチジクの品種は花粉がついたのと同じように実がなる性質(単為結果性)を持っている。

f:id:huukyou:20200721045008j:plain

f:id:huukyou:20200721045150j:plain

f:id:huukyou:20200721045215j:plain