イワニガナ(岩苦菜)

 「イワニガナ」とは何とも発音しにくいが、キク科ニガナ属の多年草。別名ジシバリ(地縛り)も異様な名前である。ところが、その名前とは違って、山野の日当たりの良いところに生え、一見するとタンポポのような黄色い花。だが、葉の形がタンポポのようなギザギザ状ではなく、薄く、長い柄がある。葉の長さも0.9〜3センチほどあり、小さく丸い形をしていて、目を凝らせば、タンポポとは違う花だとわかる。葉の形は卵形で縁は全縁。花期は4〜7月で、直径25mmほどの淡黄色の花を1株に3個ほどつける。既にあちこちで咲いている。

 今はタンポポに限らず、黄色の野草が花をつけている。よく似るオオジシバリ(大地縛り)は、イワニガナより花茎が高く、花、葉ともに大型で、葉の形が披針形で縁に鋸歯がある。他にもブタナ、コウゾリナ、オニタビラコなど、遠くから、あるいは一瞥するだけだと花は同じに見えてしまう。丁寧に細部を見るなら、違っていることが一目瞭然だし、花が開く過程での姿もまるで違う。

 野草には似た形態のものが多く、そこが園芸種と違っている。それが目立つ、目立たないことの目安になっているようだ。私たちは美しさが誇張された園芸種にこだわる。そのため自然種に手を加え、私たちの美的基準に合わせることに躊躇しない。一方、自然の花の魅力は環境(昆虫、鳥、植物など)によって決定される。自然の判断と私たちの判断はいつも合致する訳ではなく、時々大きく食い違う。自然と人間の違いを見つけようとすれば、動植物について自然種と人工種の間の違いを見つけることになる。こうなると、タンポポやイワニガナの対極にあるのは、ヒマワリやキクということになるのだろう。さて、私たち人間の場合は?

*最初の三枚の画像がイワニガナである。

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