新年に思う

新年おめでとうございます。

新年に思い浮かぶのは上田敏の訳したロバート・ブラウニングの「春の朝」。

 

The year’s at the spring,(時は春、)
And day’s at the morn;(日は朝(あした)、)
Morning’s at seven;(朝は七時(ななとき)、)
The hill-side’s dew-pearl’d;(片岡に露みちて、)
The lark’s on the wing;(揚雲雀(あげひばり)なのりいで、)
The snail’s on the thorn; (蝸牛(かたつむり)枝に這ひ、)
God’s in His heaven–(神、そらに知ろしめす。)
All’s right with the world!(すべて世は事も無し。)

 

All’s right with the world!は、「全ては神の思し召しのまま」、「世はなべてこともなし」と同じ意味。背後の宗教、思想を別にすれば、蕪村の「春の海 終日(ひねもす)のたり のたりかな」も似たような情景を描いている。このような平穏な日常が不穏な自然と隣り合わせになっている現在、誰もブラウニングや蕪村の描写をそのまま受け入れることはできないだろう。