ゴシキトウガラシ

 トウガラシはナス科トウガラシ属の植物。日本ではタカノツメが有名だが、激辛のハバネロやタバスコもトウガラシ。また、ピーマン、シシトウ、パプリカなどもトウガラシの品種の一つ。トウガラシはメキシコと南アメリカ中央部原産で、ゴシキトウガラシ(五色唐辛子)はそのトウガラシの変種。実は未熟の緑色から、時間が経つにつれ、紫、橙、黄、白と変わり、熟すと赤色となる。ゴシキトウガラシは食用のトウガラシと同属だが、色とりどりのカラフルな実を観賞し、食用ではない。実の形は丸から円錐状のものなどがある。葉は濃緑で実との対比が鮮やか。
 トウガラシは「唐辛子」と書くため、中国から朝鮮半島を通っての伝来と思われがちだが、「唐」は「外国」を指し、中国経由で伝わったのではないという説がある。ポルトガル人宣教師が大友宗麟に唐辛子を献上したが、食用となるのはかなり後で、最初は観賞や足袋の中に入れて霜焼け止めにしていた。それが秀吉の朝鮮征伐の際に加藤清正朝鮮半島に持ち込み、キムチに使われるようになったというのである。唐辛子は朝鮮料理には不可欠だが、この説によれば、その唐辛子は日本経由ということになる。実際、倭国(日本)から伝わったので「倭芥子」と呼ぶという記録が残っている。一方、日本には「高麗胡椒」という言葉が残っていて、朝鮮に行った秀吉の兵が日本にトウガラシを持ち帰ったという説がある。では、いずれが正しいのか。いずれであれ、キムチの味に変わりはなく、キムチを楽しむ方が得策なのだが…、人はとかくいずれの説が正しいかを歴史問題にしたがる。

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