奇怪な形と見事な仕掛け:コブシの実

 モクレンモクレン属のコブシは早春に他の木々に先駆けて白い花を咲かせる。見事な花に対して、果実は集合果で、握り拳のようなデコボコがあり、この果実の異形がコブシの名前の由来。だが、果実の形は皆違っていて、蕾の方が拳に似ており、蕾を命名の由来とする説もある。コブシの蕾や果実は噛むと辛みがあり、別名の「ヤマアララギ(山蘭)」や「コブシハジカミ(辛夷椒)」はこれに由来する。
 画像の果実は秋になると自然に裂け、中から赤い種が白い糸を引きながら垂れ落ちる。空中にぶら下がることによって赤い実を鳥たちに目立たせ、獲りやすくしているようなのだが、白い糸を長く伸ばす工夫など実に見事な仕掛けで自然の巧みを感じてしまう。

f:id:huukyou:20190824062335j:plain

f:id:huukyou:20190824062350j:plain

f:id:huukyou:20190824062406j:plain