まだ未熟なマルメロとダイダイの実

 マルメロはバラ科マルメロ属の落葉高木。マルメロ属はマルメロのみ。別名「セイヨウカリン」。栽培が盛んな諏訪市など一部の地域では「カリン」と呼ばれる。熟した果実は明るい黄橙色で洋梨形をしている。果実は緑色で灰色~白色の軟毛(大部分は熟す前に取れる)でおおわれている。カリンと同じ要領で果実酒や蜂蜜漬け、ジャムなどを作ることができる。カリンとの見分け方はうぶ毛(綿毛)の有無。またマルメロは形が洋梨に似て少しゴツゴツとしているが、かりんは基本的に楕円形。マルメロは中央アジアが原産地とされ、古くにヨーロッパへ伝わり、古代ローマ時代には栽培されていた。日本へは1600年代にポルトガルから長崎に伝来したようで、小野嵐山の『本草綱目啓蒙』では、マルメロの項目で「カリンに似ているものの、香気はカリンよりも少ない」と記されている。
 ダイダイ(橙)は、ミカン科ミカン属の常緑樹。ビターオレンジが別名。インド、ヒマラヤが原産。日本へは中国から渡来。 実は、最初は「緑色」で、冬に「だいだい色」に変わるが、実は落果しにくいためにそのまま次の年の夏まで残ることがあり、少し「緑色」に戻る。そこから「回青橙(かいせいとう)」とも呼ばれる。そして、また季節がめぐって「だいだい色」になる。こうして、一つの木に新旧の実がなり、「代々(だいだい)」の名がついた。

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