キブシ(木五倍子)

 何とも奇妙な名前で、漢字を見ても解せず、好奇心をかき立てる。キブシはキブシ科キブシ属に属する雌雄異株の落葉低木で、別名キフジ、と言われても合点がいかない。
 キブシの樹高は3m、ときに7mに達するものもある。3月から5月の葉が伸びる前に淡黄色の花を房状(総状花序)につける。長さ3-10cmになる花茎は前年枝の葉腋から出て垂れ下がり、それに一面に花がつき、早春の花の少ない里山ではよく目立つ。花には長さ0.5mmの短い花柄があり、花は長さ7-9mmの鐘形になる。雄花は淡黄色、雌花はやや緑色を帯び、画像は雄花である。
 果実は径7-12mmになる広楕円形、卵形または球形で、緑色から熟すと黄褐色になる。和名は、果実を染料の原料である五倍子(ふし)の代用として使ったことによる。キブシは日本固有種。 植物学的には、キブシ科はキブシ属の1属のみで、6種からなる小さな科。日本にはキブシ1種のみが自生するが、地域的な変種が5種ある。

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