冬(の)桜

 桜といえば春に決まっているのだが、秋から冬に咲くサクラも、早春に咲くサクラもある。彼らはそれぞれ正常に咲いているのだが、私たちは季節外れの、狂い咲きのサクラと一括して考える場合が多いようである。
 冬桜と言えば、小葉桜(こばざくら)を指す。大島桜(オオシマザクラ)と豆桜の雑種と考えられていて、10~1月、4月の2回花が咲くので、四季桜と呼ばれることもある。小葉桜の名の通り葉が小さく、白色から薄いピンク色の花が咲く。
 冬のヒマワリ、夏のキクなど、今は別に珍しくもなく、花に季節感を求めると大間違いというのが昨今である。贅沢すればするほど、贅沢できなくなっていくことを私たちは知っている。そうではあっても、贅沢を求め続ける私たちに対し、野にある植物は分をわきまえ、懸命に季節を忘れまいとする。何ともありがたいことである。
 淡く、脆い冬桜の花には、春の桜花の華々しさとは違った風情がある。

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