激辛ではないトウガラシ

 唐辛子というと私など鷹の爪が頭に浮かぶのだが、「内藤とうがらし」はマイルドな辛みと旨味が特徴のトウガラシ。唐辛子というと文字通り「辛い」というイメージが強いが、内藤とうがらしには昆布のような旨みがある。そして、食材同士を調和させるまとめ役にもなり、料理の他にも、フルーツやアイスクリーム、チョコレートなどとも相性が良い。
 江戸東京野菜の名称には地名のつくものが多い。内藤とうがらしの「内藤」も、江戸時代に今の新宿御苑の地に下屋敷を構えた徳川家康の家臣内藤家に因む。内藤とうがらしは内藤家の菜園(新宿御苑)で栽培が始まった。当時の江戸の町は出稼ぎ労働者が多く、手早く食べられることから蕎麦が人気となり、その薬味として瞬く間に世に広まり、新宿周辺で盛んに生産された。
 それから長い時間を経て、2008年に内藤とうがらしプロジェクトが発足し、歴史の解明と復活・栽培が進められた。内藤とうがらしは復活を果たし、新宿区内の小学校や地元の商店街、家庭での栽培も始まり、今ではFacebookまで存在する。

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