ソライロアサガオは曲者

 アサガオは誰もが子供の頃から親しんでいる草花。奈良時代に中国から渡来し、薬草として用いられたのが始まりです。アサガオが観賞用として楽しまれるようになったのは江戸時代で、大きな花の「大輪アサガオ」や、葉や花がユニークに変化した「変化咲きアサガオ」が大流行しました。江戸初期に白色のアサガオが登場、その後様々な花色がつくられ、人々の関心を集め、広く栽培されるようになりました。
 秋晴れの公園の外れの金網に緑のカーテンの如くに繁茂したソライロアサガオ(空色朝顔)。何とも見事な姿で、花をたくさんつけています(画像参照)。園芸では「西洋朝顔セイヨウアサガオ)」と呼ばれることが多いようです。また、画像はヘブンリーブルーと呼ばれる品種で、10月末の今でも綺麗な花を咲かせています。

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 ソライロアサガオは、生育が旺盛で、二ホンアサガオよりも蔓をよく伸ばします。生長が早く、よく茂るので広い範囲を覆い、葉や花の姿形、色合い、そして1日に100輪も咲く花たちに圧倒されます。ソライロアサガオの開花期は遅く、8月下旬~11月中旬くらいで、霜が降りる頃まで、咲き続けます。ソライロアサガオの中でも、一番人気の高いヘブンリーブルーは、本来は、毎年花を咲かせる宿根性植物。ヘブンリーブルーは正に秋の花です(「朝顔」は秋の季語)。

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 ソライロアサガオの種、蔓、花、また葉は麻薬成分を含み、何世紀にも渡り、メキシコの多くのインディオが幻覚剤として利用してきました。その麻薬成分は、リゼルグ酸アミド(LSA)と呼ばれるアルカロイドの一種で、向精神作用をもつ幻覚剤の一つです。リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)と科学的に近い構造を持ちます。LSAは、LSDと酷似した構造のため、症状も酷似し、幻視、幻聴、時間の感覚の欠如が現れます。2016年マサチューセッツ州のシーコンクという町で、オジギソウ、ギンヨウアサガオ、ソライロアサガオの3種類の植物の種を摂取した若者数名が体調を崩して病院に運ばれています。