秋(1):キカラスウリ

 東京の湾岸部は埋立地である。そんなところの自然など貧弱に決まっている、というのが通り相場の意見だが、そんな常識が通用しないのが自然の不思議なところ。埋立地の湾岸地域を侮ることなかれで、意外に豊かな自然が既に造成されている。カラスウリについてかつて述べたが、今日の主役はキカラスウリ(黄烏瓜)。あちこちの空き地に元気に花を咲かせ、実をつけ始めている。
 キカラスウリはウリ科の植物で、つる性の多年草。赤い果実のカラスウリに対し、黄色の果実がキカラスウリ。花は6月から9月にかけての日没後から開花し、翌日午前中から午後まで開花し続ける。花は白色、あるいはやや黄味がかった白色で直径5〜10cm程度。花冠は3〜6枚に裂ける。キカラスウリ花の先は糸状になり、長さは多様だが、カラスウリよりも総じて太く長い。
 結実した果実は緑色で、結実後2ヶ月程度で黄色に変わり、9月から11月頃には黄熟する。熟した果実の種子周囲の果肉部分には甘みがあり、食べることができる。カラスウリが赤く熟すのに対して黄色く熟すのがキカラスウリの名の由来。
 実はその形状から瓜であるのは間違いないが、なぜカラスなのかは昔からの私の疑問。カラスウリの名前は鳥のカラスとは関係がなく、由来に関わる正しい漢字は「唐朱瓜」。「唐朱」とは唐から伝来した朱墨のこと。カラスウリのあの鮮やかな実の色がその色に似ていることから唐朱瓜と呼ばれたらしい。となれば、キカラスウリは「唐黄瓜」となる筈だが、「黄唐朱瓜」が転じて(?)、「黄烏瓜」。

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