アザミとアゲラタム

 アザミとなれば、想い出されるのは「あざみの歌」で、「山には山の愁いあり 海には海のかなしみや ましてこころの花園に 咲きしあざみの花ならば」と口遊んでしまう。アザミの仲間で最も多く見られるのはノアザミで、日当たりのよい草原や道端に生えている。花の時期が長く、春から秋にかけて開花、花は直径3cmで、茎の先端に上向きにつき、総苞が粘ることや、根元の葉は開花時には枯れているのが特徴。アザミの葉には強力なトゲがあり、アザミの名の由来になっている。アザミの花が美しいので思わず触れようとすると葉のトゲの痛さに驚かされることから、「あざむかれた」→「あざむ」→「アザミ」になった。かつてスコットランドノルウェーの大軍に侵攻された。夜襲を掛けようとしたノルウェー軍の兵隊が、アザミを踏んで悲鳴を上げたことから形勢は逆転し、スコットランドが大勝し、アザミは国を救った花としてスコットランドの紋章や国花になったと言われている。
 そんなアザミによく似た花をもつのがアゲラタムで、さわやかな涼感のある淡いブルーの花色と、ふんわりとしたソフトな質感をもつ。アゲラタムにトゲはない。丈夫で花期が長く、分枝して次々と花を咲かせながら、こんもりと大きく茂る。草丈15cmくらいの矮性種から80cm近い高性種、桃花や白花もある。アゲラタム属は、中央アメリカに40種ほどあり、栽培されるのは主にカッコウアザミとオオカッコウアザミ。
 アザミが好きな私にはアゲラタムはアザミの代用品に思えてならず、これは偏見だと戒める昨今である。

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(アザミ)

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(アゲラタム)