年に二度の江東綺景である。東京ビッグサイトに3日間で延べ60万人近くの若者が集まる。すっかり盆暮の恒例行事になっている。今年も多くの若者たちが無言で列をつくり、それぞれのコミックを求めて会場へと歩を進めていた。
コミックに関心のない私には若者たちの気持ちはわからないのだが、無言のエネルギーは感じることができる。だが、それ以上は無理で、周辺で行われているコスプレ撮影は綺景ではなく、奇景としか映らない。私にはコスプレの少女たちがオートマタ、アンティークのフランス人形、バービー人形と似た印象しかもてず、そのどこが被写体として魅力的なのかまるでわからないのである。コミックの二次元の登場人物が三次元化されるのだと思ったところで、肝心のコミックに関心がなければ、単に奇妙な「擬き」に過ぎないのである。
コミケは同人誌の展示や販売が目的らしいが、コミケで生まれたコミック作品はどれだけあるのだろうか。