ハマゴウ(1)

 草のように見えるが、本当は木である。名前は「浜をはう」という意味らしい。葉を風呂に入れるといい香りがする。平安時代の文献『延喜式』、『本草和名』では蔓荊子(はまはふ)、波万波比(はまはひ)などと呼ばれ、茎が砂の上を這うので「浜這い」だった。その後、実、葉、茎に精油分を含み、芳香があることがわかり、葉や樹皮からお香や線香が作られた。浜辺の香りの植物であることから、ハマゴウ。
 ハマゴウは海岸に生育する常緑の低木。本州・四国・九州からアジア東南部から南大西洋、オーストラリアにも分布している。葉の裏面には灰白色の毛が密生していて、白い。夏に画像のような美しい青紫の唇形の花を咲かせる。
 砂地の海岸に生育し、周辺森林との境界部分に群落を形成していることが多い。ハマゴウは、以前は砂浜の普通の植物で、海水浴の想い出と重なっていたが、最近は次第に少なくなりつつある。特に瀬戸内海地域では護岸の整備と海砂の採取などによる海岸の浸食によって砂浜が狭くなりつつある。さらに、地球温暖化に伴う海面上昇が加わり、海岸植物の生育は危機的状況になりつつある。
 ところで、画像にはクマバチ(熊蜂)が見える。体が大きく、羽音の印象が強烈なために、獰猛と思われているが、性質はきわめて温厚。ひたすら花を求めて飛び回り、人間にはほとんど関心を示さない。しかも、オスには針が無く、刺すことはない。毒針を持つのはメスのみだが、毒は弱く、刺されても重症になることは少ない
 体長に対して小さいのが羽根で、どうして飛べるのかがよくわからなかった。空気に粘性があるから飛べるのだということがやっと分かった。これは人が手足を動かす水中で浮くことができるのと同じ仕組みである。水も空気も粘性があるから浮くという訳である。そのため、小さな羽根を見事に動かし、長時間その場でホバーリングしながら、花の蜜を吸い上げることができる。

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