夏模様あるいは環境破壊の結果

 西日本の大雨が過ぎ、大きな被害と共に今年の夏がスタートした。これから暫く暑い日が続くと思うと、地球温暖化をもたらした私たち自身を恨むしかないのだが、地獄の炎を想像すると地球の未来は暗澹たるものである。
 子供にとっては夏(と冬)は記憶に残る季節。なぜなら、夏は暑く強烈で、それが子供の敏感な感性に直結しているからである。そんな子供心を大切にしようと思えば、暑い中に夏の景色や風景を見て、夏を感じ取ることが妙に大切に思えてくる。だが、夏の風物を支える夏の植物たちは、どれも温暖化の前では風前の灯にしか見えない。
 大量の二酸化炭素をもっていた地球は、海の誕生によって二酸化炭素を減少させるメカニズムを獲得し、海から誕生した生命が地球環境を大きく変えて行く。地球誕生時の大気には、二酸化炭素一酸化炭素が60気圧も含まれていたが、現在の地球大気は一酸化炭素をほとんど含まず、二酸化炭素は0.0003気圧しかない。酸素が増えた理由は、生命の誕生とその進化の過程にある。
 海の形成により二酸化炭素が減り始め、二酸化炭素を含んだ雲が切れ、地球に陽光が差し込むようになり、35億年前に光合成する生命が活動を開始。この新たな生命が藍藻(シアノバクテリア)で、水と二酸化炭素から有機物をつくり、酸素を吐き出すようになる。地球は二酸化炭素を減らすサイクルを得たのである。
 藍藻が排出した「酸素」は、海底火山から噴出された鉄分、硫黄分の酸化にそのほとんどが使われたため、酸素の増加はほんの僅かだったが、20億年前にシアノバクテリアの大繁殖期に入り、状況が一変。鉄や硫黄などの鉱物に吸収されていた酸素は飽和し、余った酸素が大気に蓄積され始めた。大気中の酸素が増加し、酸素が紫外線と反応して「オゾン」を発生させ始めると、オゾンが紫外線を吸収するようになり、紫外線が弱まると、光合成する生き物はより浅い海中に浮上できるようになり、活発な光合成をおこない、酸素が加速的に増加。
 ほぼ30億年にもわたる生命の長い活動が、地球に生命を育む環境を生み出した。二酸化炭素の増加、オゾン層破壊、森林破壊や砂漠化など、地球環境を変えてきた人の勝手な活動は、実に短い時間の間に地球が積み上げてきたものを貪りつくそうとしている。
 人がこれだけの破壊能力をもつのは既に証明済みだが、破壊から再生へと転換する能力をどれだけ備えているかまだ証明されていないのである。

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