白い花の百日紅

 サルスベリ百日紅)はヒャクジツコウの名の通り、初夏から秋までの長い間鮮やかな花を咲かせる花木。樹皮が白くなめらかな手触りをしていることが百日紅の特徴で、それを好きな人が多い。花びらの縮れた小さな花がまとまって穂のように咲き、夏から秋まで美しい花姿を楽しむことができる。
 白い花のサルスベリを既に紹介したが、「白い花のサルスベリ」と書けば誰も疑問をもたないだろう。だが、「白い百日紅」と書くと、何か変である。「白い紅」は明らかに形容矛盾で、それと同じのが「白い花のサルスベリ」なのである。シロバナサルスベリとカタカナで書けば、誰も文句など言わないのだが、「白花百日紅」と書かれると、なぜ白い花が百日紅なのか答えに窮してしまう。その上、紫色の花のサルスベリまである。これは大きな花で「大花百日紅」と呼ばれ、花の色ではなく、サイズに着目した和名となっている。オオバナサルスベリはインド、東南アジアなどの熱帯アジア原産の落葉高木。フィリピンではバナバと呼ばれている。
 こうして、命名のいい加減さは倍加され、混乱の極みとなる。命名という人の勝手な都合がもたらす混乱は実に多いのだが、これはその具体例の一つである。そんな人の都合とは裏腹に、赤、白、紫のサルスベリの花が今を盛りに咲いている。

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