ツバキとチューリップ

 ツバキ(椿)、またはヤブツバキ(藪椿、Camellia japonica)は、ツバキ属の常緑樹。今では近縁のユキツバキから作り出された数々の品種が植樹されている。東京では暫く見頃である。一方、チューリップは3月に入り、温かくなりだすと咲き始める。
 東西の博物趣味が軌を一にして起こることがあるが、その原因は違う場合が多い。例えば、17世紀半ばの西ヨーロッパのチューリップの大ブームに対して、ほとんど同時期の日本ではツバキが大流行した。
 学名通り、ツバキは日本が原産だが、それまでブームになったことはない。それが元和、寛永になると爆発的に流行する。では、なぜツバキが流行したのか。おそらくは桃山・慶長期の茶の湯に椿を茶花としたことが引き金になっているに違いない。
 チューリップはオランダの原産ではなく、16世紀の後半にトルコから西ヨーロッパに移入された。チューリップ栽培が投機ブームを引き起こしたのは、この植物のもつ奇妙な性質のためだった。チューリップの栽培では、おそかれ早かれ突然の炭化がおこる。今まで花びらが一色の花を咲かせていた球根が、突如としていくつかの色が散らし模様になった花を咲かせたり、しまや羽毛の模様の花を咲かせたりする。この突然の変化による変わり種を人々は投機の対象にしたのである。

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