2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

西脇順三郎の我流略歴

小千谷の縮問屋に生まれた西脇順三郎は高価な英書ばかり読んでいました。そのためついたあだ名が「英語屋」でした。彼は洋書と英語への偏愛ぶりを「舶来の本は実にいい香りがしてシャボンのようだと述べています。少年の夢は英語で「欧米人と同じように考え…

イソギクの花

11月にイソギクについて述べました。イソギク(磯菊)はキク科キク属の多年草で、磯の菊ということから「磯菊」の名があります。日本固有種の野生菊で、分布域は千葉県犬吠崎から静岡県の御前崎にあり、海岸の崖や岩場などに自生します。イソギクの栽培は江…

西脇順三郎とふるさと

西脇順三郎は1894年、新潟県小千谷に生れました。1911年中学を卒業し、画家を志し上京。藤島武二を訪問、内弟子となります。1912年慶應義塾大学に入学、1917年卒業論文「純粋経済学」を全文ラテン語で書きます。1920年慶應義塾大学予科教員に推され、この頃…

エリカ・ファイアーレッドの花

別名はエリカ・ケリントイデス。樹高90cmほどの低木で、丈が低いうちから花を咲かせます。枝の先端に長さ長さ2~3cmで、やや紡錘形をした筒状の花を房状に咲かせます(画像)。花色はサーモンピンクや濃いオレンジです。ファイヤーヒースとも呼ばれますが、…

頸城地方の浄土真宗

石山本願寺は浄土真宗を再興した蓮如(れんにょ)がつくった一大拠点で、織田信長はそれを10年以上攻めるのですが、決着がつきませんでした。そこで、信長は正親町天皇(おおぎまちてんのう)を間に入れて和睦を求めます。本願寺内では信長と和睦するかどう…

ビワの花

ビワと言えば、誰もが思い出すのは果物のビワの実で、その食べ頃は初夏。そのために、ビワは今の時期に花をつけ始める。和名のビワの語源は葉の形や実の形が楽器の琵琶に似ているからとされ、日本には古くに中国から渡来し、奈良時代には既に果実として食べ…

ふるさとを知り、遡る

若き西脇順三郎は徹底して西洋に傾倒した。そのため、「ふるさと」を嫌悪し、「小千谷」という言葉すら厭った。だが、戦後は折りあるごとに小千谷を訪れ、子供の頃の思い出の地を歩き、独特の風景画を描き、信濃川を愛でた。彼のふるさと転向は何ともわかり…

クロガネモチの実

紅い実をつけるクロガネモチが妙にたくさん植えられているのが湾岸地域で、今はあちこちでその紅い実を見ることができる。クロガネモチはイチョウなどと同じように雌雄異株。赤い実をつけるのはクロガネモチの雌の木。確かに、雄の木を見落としているのかも…

人の都合、自然の都合

オミクロン株のニュースが溢れ、変異株が次々登場すると、直にギリシャ語のアルファベットが尽きてしまうような気がしてくる。そうなったら、次は日本語の「あいうえお」にしたらどうかなどと呑気に思ったりしてしまう。 私たちの祖先の人類は発見順に命名さ…

ハコネウツギの花

ハコネウツギ(箱根空木)はスイカズラ科の植物で、別名はベニウツギ、ゲンペイウツギ。日本各地の海岸近くに自生し、私の住む湾岸地域では庭園樹としてあちこちに植栽され、よく見かけます。花期は5~6月頃ですが、一年を通して花を見ることができます。花…

プリムラ・マラコイディスの花

和名はケショウザクラ(化粧桜)、オトメザクラ(乙女桜)で、サクラソウ科の植物です。サクラソウ属の植物は500~600種があるとされており、その中の一つがプリムラ・マラコイディスです。 プリムラ・マラコイディスは中国の雲南省が原産の一年草です。株全…

デージーの花

デージーはヨーロッパや地中海沿岸を原産とするキク科ヒナギク属の一年草です。今頃からから5月上旬にかけて花を咲かせます。和名はヒナギク(雛菊)で、デージーは「太陽の目」を意味する「Day‘s eye」に由来し、別名はチョウメイギク(長命菊)、エンメイ…

キンカンの実

キンカンはミカン科キンカン属の常緑性低木の総称です。「金」は実の色、「柑」は「柑子(こうじ)」で、みかんの古い名前です。キンカン類はミカン属と考えられていましたが、ミカンと比べると実が小さく、子房の室数が少ないなどの理由から、ミカン属から…

「不識」を巡る老いの杞憂:再訪

林泉寺の山門の扁額「第一義」は上杉謙信の自筆として有名ですが、それは彼の「不識」問答へのこだわりから書かれていて、重要なのは「第一義」ではなく、「不識」なのです。 眼は外界のものを見ることができますが、自分の眼を(鏡などを使わない限りは)直…

ナンテンの赤い実

ナンテン属の木は他になく、一属一種の木とされ、秋の紅葉や晩秋にできる赤い実を愛でる和風庭園の定番であり、中国やインドにも自生が見られます。ナンテンの和名は漢名の「南天燭」の略で、高さは2mから4〜5mほど。幹の先端にだけ葉が集まってつきます。初…

ヤマト政権の天津神社と、出雲政権と奴奈川郷の奴奈川神社

天津神社(あまつじんじゃ)は糸魚川市にある神社で、境内からは弥生時代の遺物が多数発見され、古代の祭祀場があったと推定できます。越後国の神社の中では、弥彦神社(弥彦村)と居多神社(上越市)と共に越後国一宮を称していて、ヤマト政権によってつく…

ハツユキソウの葉

葉の色が緑色でなかったり、斑入りだったりする植物は意外に多く、観葉植物として好まれています。そんな植物の代表の一つがハツユキソウです。 「初雪草」とは何とも大正ロマン主義風で、竹久夢二が命名しそうな名前です。名前の由来は画像を見れば誰もが納…

ヒスイと奴奈川姫

奴奈川姫伝説についての私的な基本資料は次の二つです。いずれもWebで簡単に読むことができます。 (1)上越市在住の日本画家川崎日香里氏のブログやFBと、奴奈川姫伝説を解説している「古代史日和大国主命が求婚するヒスイの女神奴奈川姫」(1)、(2)(ht…

レウィシアの花

多肉植物系の花で、秋に開花、冬に一旦枯れ、春にまた開花します。北アメリカに16種が分布する多年草で、主に山地に自生します。日本には大正時代に入ってきたようです。 ロッキー山脈沿いに自生するレウィシアはコンパクトな姿で、春になると園芸店やホーム…

神話から昔話への素描:奴奈川姫

私のような民俗学の素人が生まれ育ったのが小出雲(現妙高市)で、子供の頃は奇妙な名前だと思ったことさえありませんでした。小出雲の隣に姫川原、美守(ひだのもり-妙高市、ひだもり-上越市)があり、これらの地名に対する疑問もありませんでした。でも…

サザンカの花

師走に入ると、湾岸地域では山茶花の花が目立ち始めます。サザンカ(山茶花)はツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹。私など童謡の「たきび」の歌詞でサザンカを知ったのですが、今の子供たちにはその歌詞さえ非日常的な風景なのでしょう。サザンカには多くの園芸…

紅葉と黄葉

北国では雪の季節に入ったようですが、湾岸地域は緑の中に紅葉があちこちで見られています。私自身の誕生日前後が紅葉の最盛期と言ったところで、子供の頃の季節感とは随分と違います。

神話や昔話の中のヘビ、ガマガエル、ナメクジ

ヘビやガマガエル、ナメクジは嫌われもので、「大蛇、蝦蟇、蛞蝓」となると神話や昔話の常連である。私のような田舎育ちの老人にはどれも珍しくはなく、それでいて、どれも好きになれない身近の生き物だった。だが、今の子供たちはそれら小動物に日々接する…

センリョウの実

センリョウはセンリョウ科の常緑低木で、ヒトリシズカやフタリシズカなどと同じ仲間。江戸時代までは、「仙寥花(センリョウカ)」と呼ばれていましたが、見た目の似ている万両(マンリョウ)よりも実つきがまばらなので、千両になったと言われています。樹…

神話や昔話:柳田と折口

柳田国男は『昔話と文学』(1938)序で、昔話を「神話といふものゝひこばえ(切り株や木の根元から出る若芽)であることは、大体もう疑ひは無いやうであります」(新全集9、p.252)と述べ、神話と昔話の関係をどのように捉えていたかがわかります。 折口信…

マンリョウの赤い実

12月に入り、湾岸地域ではあちこちでマンリョウの赤い実が目立つようになっています。マンリョウは東アジアの広い範囲に見られるヤブコウジ科ヤブコウジ属の常緑低木。日本では昔から和風庭園の下草として使われてきました。 秋から冬にかけ、マンリョウの赤…

アオキの実

雪の中のアオキの赤くなった実は子供の頃の記憶として今でも鮮明に覚えています。秋もつけた青い実が次第に色づいていき、正月にはすっかり赤くなっていました。 アオキ(青木)はアオキ属の常緑低木。和名の由来は、常緑で枝も青い(緑)ことから。葉は大き…