2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ヤマハギ

マメ科のヤマハギ(山萩)は山に普通に咲くハギ。日本各地の山野に生える落葉半低木。秋の七草の一つとして古くから日本人に親しまれてきた。『万葉集』にも萩を詠んだ歌が130首以上収められている。ハギは秋の七草だが、草ではなく木である。全国各地の日当…

越後の良寛

越後には詩人が多い。越後で優れた詩歌が生まれる。実際、会津八一も相馬御風も、そして西脇順三郎も越後生まれの詩人である。越後出身だからと言って、その文学が越後的、越後風などと言うことはない。彼らが求めた詩や歌の精神は人間の生存や自然の姿に根…

キカラスウリの実

湾岸地域はオリンピックに向けてあちこちで工事が行われ、一時的に空き地ができ、金網で囲われたりしたが、そこに雑草が増えた。また、緑地が他の地域より広く、今の季節には様々な雑草が勢力を競い合っている。そんな雑草の一つがウリ科のキカラスウリ(黄…

ユートピア

「ニワトリが先か卵が先か」という問題に対する解答「A hen is only an egg's way of making another egg(鶏とは卵が卵を産むための手段に過ぎない).」はバトラーの有名な一句(Samuel Butler、Erewhon, 1872, 近年ではRichard Dawkins, The Selfish Gene,…

ヨウシュヤマゴボウ

ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)とは何とも野暮な名前である。ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草で、別名はアメリカヤマゴボウ。ヨウシュ(洋種)とは読んで字のごとくで、北米原産の帰化植物、日本に入ってきたのは明治元年。ヤマゴボウ(山牛蒡)は日本…

懐疑と不信が絡み合う

嘘しか言わない狼少年が「今自分が言っていることは嘘だ」と自己言及(self reference)したとき、それは嘘なのでしょうか、と問われて、あなたならどう答えますか。狼少年自身が自分は嘘つきと表明しており、嘘が嘘なのですから自分が言っていることは本当…

鬼灯と柘榴

ホオズキ(鬼灯、鬼燈、酸漿)は多年草で、淡い黄色の花を6、7月頃咲かせます。この開花時期にあわせて日本各地で「ほおずき市」が開かれます。学生の頃、通学路だった浅草寺のほおずき市は有名ですが、それも今年は中止。7月13日にホオズキのことを記しまし…

アブダクションを使って宗教教義を比較する

新しい考えやアイデアを発見するための方法としてアブダクション(abduction)がある。それを使って宗教教義を捉えてみるとどうなるか考えてみよう。異なる宗教教義の比較など客観的にできる筈がないという立場を最初から唱えるより、その立場が正しいという…

アカメガシワ:子供の頃からいつも身近に見てきた先駆種

アカメガシワ(赤芽槲、赤芽柏)はどこにでもある割には名前は知られていないようだ。落葉高木で、山野に生えており、春にでる若葉は紅色をしている。雌雄異株で、樹高は5 - 10メートルほどに達する。葉は赤く長い葉柄をつけて互生する。花期は6 - 7月で、枝…

理系バカが抱く歴史科学観

私は歴史を学ぶ専門的な訓練など受けておらず、実際の歴史研究についてはずぶの素人。その素人が耳にしてきたのが歴史学と科学の違い。歴史学がれっきとした科学だと歴史を研究する人の多くが思っているだけでなく、遺跡や建造物の調査、古文書の実証的な研…

ホオズキ

浅草寺では江戸時代より毎年7月の9日と10日の四万六千日の縁日に、「ほおずき市」が催されているが、今年はコロナ禍で開催中止となってしまった。浅草寺では古くから観音様の縁日が開かれていて、室町時代以降に「功徳日」の風習が加わり、この功徳日は享保…

異教徒にとってのキリスト教の基本的な教義

神は同じ本質をもつ異なる三つの位格をもつ。それらは、父なる神と子なる神(キリスト)と聖霊なる神である(三位一体)。キリスト教は、正教会、東方諸教会、カトリック教会、聖公会、プロテスタント諸派の主要教派の全てが、この教義を共有している。アダ…

榊原政令の赤倉開発

赤倉温泉が「此ほど寒酸の極に陥つた町並を見たことが無い」と紅葉に書かれたことについて何度か触れたのだが、それを気にする地元の人はまずおらず、沈黙によって無視される。藩営温泉の実態、幕末から明治に変わり、温泉経営はどのような影響を受けたのか…

ハマボウ(浜朴あるいは黄槿)

ハマボウは昨日記したムクゲの仲間で、アオイ科フヨウ属の落葉低木。西日本から韓国済州島まで分布し、内湾海岸に自生する塩生植物である。画像は晴海のハマボウで、公園に植栽されたもの。花期は7-8月で、直径7cm程度の、中心が赤褐色の黄色い花を沢山咲か…

煙霞痼疾(えんかのこしつ)

「煙霞」はもやや霞のことで、自然の景色を指し、「痼疾」は治ることなく長い期間患っている病、持病のこと。自然を愛でる強い気持ちを病にたとえたのが煙霞痼疾。となれば、妙高を強く愛でるのが妙高痼疾。煙霞痼疾は「深く山水を愛して執着し、旅を好む性…

欲の善し悪し 

ブッダの仏教は人間の何に貢献するのか?このような問いをもつこと自体が人間の傲慢な態度の表れだと批判されるのだろう。絶対的な神にとっては、人間など被造物の一つに過ぎず、その神が人間に貢献するなどということはあり得ない話である。人間こそ神に貢…

フヨウ属のムクゲ

フヨウ属のムクゲは見る場所や時間によって印象が大きく変わる。とても日本的で、茶席に合うかと思えば、韓国の国花であり、同じフヨウ属のハイビスカスとなれば異国の夏。それぞれに日本的、東洋的、そして世界的と形容して何らおかしくない。とても懐の深…

フヨウ属のムクゲ

フヨウ属のムクゲは見る場所や時間によって印象が大きく変わる。とても日本的で、茶席に合うかと思えば、韓国の国花であり、同じフヨウ属のハイビスカスとなれば異国の夏。それぞれに日本的、東洋的、そして世界的と形容して何らおかしくない。とても懐の深…

因果的な世界から対称的な世界へ:世界を知るための二つのパラダイム

「風が吹くと、桶屋が儲かる」という文に怪訝な反応を示すのは、「風が吹く」がなぜ「桶屋が儲かる」の原因になるのかわからないからです。この文は「独身者は結婚していない」というような、つまらない文と比べて、意表を突く内容をもっています。この文が…

謎の多いノラニンジン

野菜のニンジンの野生種と言われている。私が住む湾岸地域でも空地、草地のあちこちで花をつけ出している。根は直径約1㎝と細く、食べられない。昭和初期に牧野富太郎が見つけ、命名した。特に北海道に多い。ノラニンジンはヨーロッパ原産の外来植物。葉柄は…

物語がもつ役割:トークンストーリーと問題化

物語の内容が個別的であることは一般的な内容をもつ理論との際立った違いで、特定の物語であるというトークン性に物語の第一の特徴がある。物語はあくまで一つの個別の物語なのである。個別性と並ぶ物語のもう一つの重要な特徴は、内容の主題化、そしてそれ…

タイサンボクの花と実

久し振りに検査のために病院に行くと、玄関の左手に大きなタイサンボクがあるのが飛び込んでくる。だが、私にはタイサンボクが玄関横にあるという記憶がまるでないのだ。これまでそれに気付かなかったことが不思議なのだが、タイサンボクの大木が突然に存在…

電磁場の発見と相対性原理の危機

ニュートン(Isaac Newton,1643-1727)がその著書『自然哲学の数学的諸原理(Philosophiæ Naturalis Principia Mathematica)』のはじめに公理として掲げた運動の三つの法則はニュートン力学の基本法則になっている。 慣性の法則: ある物体に他から何の力も…

チェリーセージ ホットリップス

チェリーセージはメキシコ北部原産の多年草で、高さ1.5mほどになり、茎の基部は木質化する。葉は卵形で対生し、縁には鋸歯がある。茎頂や葉腋から花序を出し、赤色の花をつける。条件によって、赤い色の部分の割合が変化し、白一色、赤一色になることもある…

ハマゴウ:色の調和と観察研究

ハマゴウの見事な江戸紫の霞んだ色と、同じように霞んだ緑の調和は私の好きな色合いで、しっとりした今の季節にしっくり合う。とはいえ、草のように見える木は天に向かう風はなく、地を這うようで何ともだらしがない。色合いは良くても、形態はいただけない…

ターレスの幾何学と論証による説明

現在はトルコ領のミレトスで生まれたターレス(624-546 BC)は、気候や天体の変化は神ではなく、哲学者や科学者が説明すべきものだと考えた。ターレスは物質がすべて水からできていると誤解したが、どんなものも同じ一つの基本的なものからできているという…

ハマナスの花と実

ハマナス(浜茄子、浜梨)はバラ科バラ属の落葉低木で、自生する野生のバラ。夏に赤い花(まれに白花)を咲かせる。湾岸地域には意外に多く、あちこちに植えられ、花や実をつけている。実(偽果)は扁球形で黄赤色、通常は無毛でまれに小さな刺があり、弱い…

妙高と飛鳥:地方と中央

今年も6月22日の聖徳太子の命日に杉野沢の太子堂で太子講祭が行われたと聞きました。少し前に、私の生まれた土地が小出雲と呼ばれ、そのルーツを辿って出雲と蝦夷の話をしました。そこに関山神社の秘仏を置くと、日本海側の出雲、若狭、北陸、そして越後から…

アウグスティヌスの時間とBlock Universe Model(ブロック宇宙モデル)

私たちはこれまでアウグスティヌスの時間について考察してきた。ここでは彼とは全く異なる考えを取り上げ、二つを比較してみよう。その異なる考えがタイトルにあるブロック宇宙モデルである。 ブロック宇宙モデルは時空のすべての点に対して同等の存在論的な…

バーベナの野生化

ヤナギハナガサ(柳花笠)はクマツヅラ科クマツヅラ属の多年草で、サンジャクバーベナともいう。バーベナは250も種類がある。その中のバーベナ・メテオールシャワーは三尺バーベナの欠点をカバーした品種。三尺バーベナは、分枝せずひょろひょろ伸びる、こぼ…