2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

錯知

知覚を理解するうえで錯視、錯聴は重要な役割を演じています。それと同じような役割をもつのが、知識を理解する上での錯知あるいは錯識です。「錯知」は耳慣れない言葉ですが、その中身をまず知っておきましょう。 錯視が「見る」ときの錯覚、それに対応する…

コザクラノボタン(小桜野牡丹)

コザクラノボタン(Centradenia 'Pink Pearl')はノボタン科ケントラデニア属で、原産は中央アメリカ。淡いピンクの花が、茎頂付近に集散花序で多数咲く。花は小さく可憐だが、花数が多いので、見応えがある。草丈はあまり高くならず、よく分枝して、横に拡…

言葉のもつ力と言葉を操る力と

私たちは言葉をもつ動物です。その言葉は自分の信念や欲求を正確に表現し、的確に相手に伝える力、能力をもっています。真実を、正確に、詳細に、雄弁に表現できるのが私たちのもつ言葉で、その力は他の動物のコミュニケーション能力をはるかに引き離してい…

シロヤマブキの実

シロヤマブキ(白山吹)はバラ科シロヤマブキ属の落葉低木で、庭や公園でよく見る。花期は4-5月で、径3-4cmの両性花を側枝の先端に一つずつ咲かせる。花弁は4枚で白色(以前の画像)。果実は痩果(種子が果皮に包まれ、それが一見種子に見える)で、夏に一つ…

視覚経験は主観的なのか

私たちの視覚経験は客観的な科学的知識と違って主観的だと言われてきた。科学的知識と違って、主観的的で個性的なのが人がものを見る経験だと信じられてきた。視覚をその「仕組み」と「志向的内容」に分けて、どれほど主観的か見直してみよう。 眼はカメラと…

カクレミノの花と実、そして葉

カクレミノ(隠蓑)は、ウコギ科カクレミノ属の常緑亜高木。原産地は日本をはじめとする東アジアで、庭木などによく用いられており、最近は公園でもよく見かける。花期は6-8月で、両性花だけつく花序と、雄花と両性花が混じる花序がある。果実は長さ1cmくら…

校是「第一義」

早稲田実業の校是は「去華就実」、校訓が「三敬主義」。「去華就実」は「華やかなものを去り、実に就く」ことで、「実業」精神そのもの。「三敬主義」は天野為之(早稲田実業第二代校長、早稲田大学第二代学長)が唱え、「他を敬し、己を敬し、事物を敬す」…

学習される本能:Hard Empiricism

1歳前後からの幼児の成長を見ていると、言葉や知識はまだでも、感情や欲求の学習は実に見事で、それらの学習は模倣に基づくとはいえ、それに尽きる訳ではなく、驚嘆そのもの。人の顔の様々な表情、喜怒哀楽を幼児は着実に習得していく。食べ物の味、寒暖、好…

オミナエシ(女郎花)

別名は、敗醤(はいしょう)。オミナエシの名の由来は、同属で姿がよく似ている白い花のオトコエシ(男郎花)に対する「女郎花」で、全体に優しい感じがするところから名付けられたとされる。また、もち米でたくごはん(おこわ)のことを「男飯」といったの…

曖昧で、揺らぐ:概念と対象

近視の私に見える風景は曖昧でぼんやりしている。電車や自動車に乗って、知覚像が揺らぐのも何度も経験済みである。曖昧で、揺らぐ知覚像はわかるのだが、概念や対象はどうだろうか?概念は曖昧で、揺らぐのか?それとも、曖昧で、揺らぐのは対象なのか?あ…

コムラサキの花

蝶にもコムラサキがいるが、植物のコムラサキはシソ科ムラサキシキブ属の落葉低木で、北海道及び青森を除く日本各地の山野に分布する。日本のほか、中国や朝鮮半島にも分布する。同属のムラサキシキブとともに紫式部にちなんで名付けられた。ムラサキシキブ…

私たちが捉えた時間の四つの特徴

人は特定の観点や立場を決めないことには、物事について述べ、意見を主張し、議論し合い、結論を得ることができません。眼前の所与、つまり手元にある(見たり、聞いたりした)感覚的なデータを目安にして自らの観点や立場をまずは決めるということは大変人…

アカボシゴマダラとナガメ

タテハチョウ科のアカボシゴマダラは1995年に埼玉県秋ヶ瀬公園などで突然見つかった。その後の数年間、神奈川県を中心に関東南部でも多数発生し、2006年には都内でも発生。その後も分布の拡大が続いている。外見上の特徴から、中国南部の亜種と推定されてい…

心身が老いる

「心が老いる」と言ったとき、それは身体の老いと同じ意味なのだろうか。脳を含む身体の「老い」については近年よくわかってきている。だが、心の老いについては心が何を指すかわからないなら、わかる筈もない、というのが20世紀までの常識だった。そんなこ…

スペアミントの花

ミント(女無天、mint)はシソ科ハッカ属の総称で、主なものがペパーミントとスペアミント。地中海原産のペパーミント系は香りが強く、メントールの含有量も多い。ヨーロッパ原産のスペアミント系の香りは比較的弱く、甘い香りがある。日本には江戸時代にオ…

文脈生活:文脈こそわが命

人の生活は骨の髄まで文脈的である。これは人の運命と言ってよい。大袈裟に言えば、被造物すべてが文脈的で、神のみが非文脈的なのである。一日が繰り返され、一年が反復され、それが生まれたときから死ぬまで続く。毎日がリセットのようでもあるが、それが…

広葉のマウンテンミント

マウンテンミントは爽やかな香りがして、名前にもミントなのですが、シソ科のサルビア属の多年草でです。原産地は北米で、草丈が70~100cm。花の色は白ですが、赤紫の小さな斑が入ります(画像)。開花は7~9月で、茎や葉が短毛で覆われているので、全体がシ…

ヒトの白目

人の眼は人を惹きつけ、表情の要になっています。人の眼を見て話すとき、私たちは人の眼の何を見ているのでしょうか。つぶらな瞳は目のどの部分か誰もが知っています。私たちは眼の白い部分ではなく、黒い、青い、あるいは緑の瞳の部分を注目してきました。…

ヤブランとノシラン

ヤブラン(藪蘭)は、キジカクシ科ヤブラン属の多年草。ヤブラン属には5種があり、日本には、ヤブラン、ヒメヤブラン、コヤブランの3種が自生している。斑入りや花色の異なるものなど20ほどの園芸品種がある。園芸に広く利用されていて、湾岸地域でもあちこ…

私はなぜユニークなのか

人は我が儘で、ある時は自分だけであることを好み、別の時は自分だけであることを嫌う。他人と一緒であることを望んだかと思えば、一人になりたいと訴える。その時々の気分次第で目まぐるしく変化する。それに応じて、人は社会的動物として共同生活する生き…

郷土の力士たち

かつて力士は郷土の誉れ、誇りであり、子供たちの憧れでした。私も子供の頃はよく相撲に興じました。栃若から始まり、多くのヒーローが私の記憶の中を駆け抜けて行きました。そんな私の心の中に強い印象を残した郷土の力士は三人。まずは羽黒山。彼は1914年…

その後のヨウシュヤマゴボウとユリ

5日前に有毒のヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)について書きました。別名はアメリカヤマゴボウ。ヨウシュ(洋種)ですから、北米原産の帰化植物で、日本に入ってきたのは明治元年。濃い紫色に熟した画像は昨年のものでしたが、おととい見つけた個体は既にそ…

校是「第一義」

早稲田実業の校是は「去華就実」、校訓が「三敬主義」。「去華就実」は「華やかなものを去り、実に就く」ことで、「実業」の精神そのもの。「三敬主義」は天野為之(早稲田実業第二代校長、早稲田大学第二代学長)が唱え、「他を敬し、己を敬し、事物を敬す…

我が青春のファンタジー、そしてSF

私が大学生の頃に衝撃を受け、夢中になった作家たちと言えば、高校までの模範的な作家とは随分と違っていた。小説を読まなくなったということもあるが、自ら漁るというより、たまたま手許にあるものを偶然に読んだという方が正しいのだろう。受動的な読書で…

イチジクの実

イチジクは無花果、映日果と書かれるクワ科イチジク属の落葉高木で、私たちのその果実をイチジクと呼ぶ。原産地はアラビア南部。日本には1591年ポルトガルから天草に伝えられ、はじめ「唐柿(からがき)」、「蓬莱柿(ほうらいし)」、「南蛮柿(なんばんが…

擬似科学概念

タイトルは「擬似科学概念」となっていますが、「擬似概念」でも「擬似科学」でもなく、「擬似的な科学概念(pseudo scientific concept)」のことです。擬似科学概念は多岐にわたるのですが、「個性、種差、生物多様性、外来生物、地球温暖化」などが最近よ…

ブドウ(葡萄)の実

東京の湾岸地域にはあちこちに緑道ができ、散歩する人が多いとは言えないのだが、結構楽しむことができ、老人の私にはいい運動にもなる。そんな緑道の中に100mほどしかない、小さな散歩道があり、他にはない立派な葡萄棚がある。昨年もブドウが豊作だったこ…

不可能な対象

エッシャーの絵画に登場するような図形、あるいは物体が描かれているのを見たことがある筈です。それらにつけられた名前は「impossible object」。これらの図形が2次元上の対象であれば、実際に2次元の平面に描かれているので、その存在は可能どころか、実際…

ハナズオウの豆果

ハナズオウ(花蘇芳)は中国原産のマメ科の落葉低木で、春に咲く花が美しいため(画像)、湾岸地域ではよく目にする。江戸時代初期に日本に渡来。高さは2-3mになり、葉はハート形でつやがあり、葉柄の両端は少し膨らむ。早春に枝に花芽を多数つけ、葉より先…

自力と他力

1仏教 仏教は当初自力でした。ですから、わざわざ「自力」という言葉を使い、特に強調することもありませんでした。「他力」という概念の対概念として「自力」という言葉が使われたと考えるべきです。仏教はそもそも「自力」という立場の宗教でした。 自らの…