2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ゲーデルの不完全性定理

<ゲーデルの定理は「知ったかぶり」がどのようなものかを腑に落ちる仕方でわかるための格好の例。この定理をわかるには実際に途中を省略せずに証明を辿ってみることだが、それが意外に厄介で、証明の多くの部分は「できる筈、そうなる筈」という妥当な推測…

天と地と

何とも懐かしいタイトルだが、天にはセンダンとエゴノキ、地にはカラーとトキワツユクサ、いずれも白が基調の花が咲き、天も地も5月である。 センダン(栴檀)は、センダン科の落葉高木。「栴檀は双葉より芳(かんば)し」のセンダンは実はビャクダン(白檀)…

妙高(山)と深川

妙高(山)は「妙高(山)」でなければ腑に落ちず、深川は「深川」と呼ばれてこそ深川だと大抵の人は疑うことなく断言する筈です。確かに、もののもつ性質を表現するためにつけられたのが名前だと考えるなら、富士山は「富士山」でなければならないことにな…

クサノオウ再訪

4月の初めに挙げたのが、とても大業な名前のクサノオウ(瘡の王、草の黄、草の王)。そのクサノオウがまだ咲いていた。ケシ科クサノオウ属の草本植物で、全草に約21種のアルカロイド成分を含み、その多くが人間にとって有毒。黄色い汁が皮膚に触れると炎症を…

白い花の木々

イボタノキ(水蝋樹・疣取木)はモクセイ科の落葉低木。北海道から沖縄まで全国の野山に自生する半落葉樹。イボタノキそのものが庭木として使われることは稀だが、丈夫な性質を利用して垣根トして使われることがある。 「イボタノキ」はこの木に寄生するイボ…

知識帰命の異安心:日曜日の安心

日本には浄土真宗の寺が圧倒的に多く、当然多くの国民が門徒ということになります。その浄土真宗には、「知識帰命の異安心(ちしききみょうのいあんじん)」という言葉があります。知識は指導者、帰命は帰依すること、誤った真宗教義が異安心(いあんじん)…

「瞬間」と「現在」の古典性

昨日は「現在」や「今」について考えた。ところで、「物理的な対象や性質はいつでもどこでも決定していて、それゆえ決まった値をもち、私たちがそれを確かめることができるかどうかには関係ありません」というのが古典的な物理実在論の基本主張である。そし…

ピラカンサスの満開の花

木全体についた赤い実には驚くばかりなのだが、満開の花もまた見事で、これほど花をつけて重くはないのか、弱ってしまわないかと逆に気を揉んでしまう。そんなピアカンサスの和名は橘擬(たちばなもどき)、常盤山樝子(ときわさんざし)で、開花時期は5月の…

「現在」=「今」とは何なのか

「現在(present)」とは言わずと知れた「今(now)」のことだが、「今」はわかったようでわからない不思議概念の一つ。「今」は今しかなく、「一瞬」でしかないと思われている。一瞬の出来事と言えば、夏なら流れ星や花火が思い浮かぶ。だが、「今」も「一…

ヤセウツボ

今の道端や野原は草花に溢れているが、そんな満面の緑の中に枯れた姿に見えるものが見える。枯れて見えるのは葉緑素がないからで、その理由は他の植物に寄生しているため。それがヤセウツボ(痩靫)で、ハマウツボ科ハマウツボ属の寄生植物。地中海沿岸が原…

理性も感性も不完全:経験的に知る=人間的に知る

知覚経験を通じて何かを知るとき、大抵は一挙にすべてがわかる訳ではなく、僅かな一部が目に入り、耳に聞こえ、それらがもとになって徐々に知っていくことがほとんどではないでしょうか。ところが、カント以来の認識論ではお伽噺のようにすべてが完全に知ら…

ヒナキキョウソウ

13日にキキョウソウの閉鎖花について述べた。そのキキョウソウによく似ているのが今日のヒナキキョウソウ。ヒナキキョウソウは北米原産の一年草で、近縁種のキキョウソウよりやや小型で、かわいらしいという「ヒナ」がついた。まさにキキョウソウにそっくり…

記憶の中のケヤキやブナ(欅や山毛欅)

私が生まれたのは裏日本の豪雪地帯。十数年前に妙高市となったが、その市の木がブナ。私の子供時代の生活の中にはブナは大した存在ではなかった。だが、ケヤキは身近な樹木だった。子供の頃の記憶の中にはケヤキがどっしりと存在している。併合前の旧新井市…

ナワシロイチゴの開かない花

カジイチゴの葉にはカエデのような切れ込みがある。同じカエデ型の切れ込みのある葉をもつのがモミジイチゴだが、カジイチゴはモミジイチゴとは異なり、花は上を向いて咲き、画像のように花弁に縮れが目立つ。そんなことを3月に書いたが、和名は葉がカジノキ…

Nature and/or Nurture

「何が自然で何が人工か」という問いは愚問というより人心を惑わす問いです。「自然」という概念は随分古くからあり、Natureは「自然」でもあり、「本性」でもあります。私の住む江東区の自然など人の手が入ったものばかりです。でも、私たちの風景の認識な…

キキョウソウ(桔梗草)

キキョウソウはアメリカ原産のキキョウ科の帰化植物。自生域はカナダからアルゼンチンに及ぶ。英名は「Common Venus' looking-glass」で、ビーナスの鏡。何ともロマンチックな名前である。やはり帰化している小型のヒナキキョウソウ(雛桔梗草、Clasping Ven…

謎と疑問の海に漂う私たち

英国のジョンソン首相は10日、新型コロナウイルス感染防止のために約7週間前に導入した外出制限を慎重に緩和する計画を発表。ロックダウンを解除する時ではまだないとし、コロナ対策を慎重に変更するための最初の一歩を踏み出すと説明した。そのためのスロー…

キングサリ(金鎖)

カネグサリやキンサではなく、キングサリはマメ科キングサリ属、ヨーロッパ南部原産で、大きな木になると3メートルくらいあり、満開の花を下から見上げると、晴れた日は青い空に黄色が映えて見事である。日本には明治初期に渡来して、キングサリ、あるいはキ…

子供が知ることは残忍なのか

人間は子供も大人も残忍で、殺人は日常生活では珍しいことではない。学校で起きているのはいじめや学級崩壊だけではない。飼っていたウサギを皆殺しにした小学生がいた。万引きが行われ、大勢でホームレスを襲う。自分の親に毒を盛り、親の反応を冷静に観察…

シラン(紫蘭)

今はシランがあちこちでうるさい程に咲いている。ラン科シラン属のシランの花期は4月から5月。花は紫紅色で、30から50cm程度の花茎の先に数個花がつく。観賞用に、花の色が白色のもの、斑入りのもの、淡色花、花弁が唇弁化した「三蝶咲き」などがある。画像…

不条理から条理の回復へ

トチノキの白い花が眩しい。そのトチノキの仲間がマロニエで、パリの街路樹として有名。東京でもマロニエの紅色の花が咲いている。ところで、『嘔吐』(La Nausée)はサルトルの1938年の小説。カフカの影響を受け、絶望した研究者が事物や境遇によって彼自身…

ユウゲショウ、そしてヒルザキツキミソウ

公園や空き地に子供たちや大人が遊ぶ毎日が続いている。その原因がわからなければ、長閑で、平和な日常としか思えない。春が満ちて、もう長くはないことを知っているのか、春の雑草たちはどこでも花を咲かせている。私の目には大量の花々が飛び込んでくる。…

自粛で蟄居の憂鬱な週末に:検査と隔離、連帯と共有

PCR検査の目詰まり、専門家会議と政府の間の関係、医療従事者の負担、そしてコロナ対策に翻弄される人々の姿が毎日マスコミで取り上げられ、世の動転状態が続く。医療と経済がぶつかり合い、右往左往の毎日は疲労だけが蓄積し、次の第3波以後の体制準備には…

決定論と自由

決定論は、すべての出来事はそれに先行する出来事によって完全に決定されている、と主張します。すると、ただ一つの未来が過去によって決定されていて、偶然的なものが存在する余地はどこにもないことになります。したがって、行為を決定するために複数の選…

カラタネオガタマ(唐種招霊)

カラタネオガタマはモクレン科の常緑樹で、別名もトウオガタマ(唐招霊)で、何とも重々しい名前である。中国南部原産で江戸時代に渡来。オガタマは「招霊(オキタマ)」が転訛したもので、かつては神の依代として寺社を中心に植栽されたが、大きくならず管…

ベルクソン『時間と自由』:量、質、そして、自由

先日、量(quantity)と質(quality)について、それらは異なるもので、量は数学的に表現できるもの、質は直接に感じとられるもの、というような区別が広く受け入れられてきたようだと述べた。さらに次のように続けた。「それはアリストテレス以来の伝統であ…

カリンの花と実

「まず花が咲き、次に実がなる」ことを見事に示してくれるのがカリンの画像。花も実も特別美しかったり、美味しかったりということはないが、私の周りには意外に多く植えられていて、サルスベリに似て樹肌が滑らかなのが特徴である。今年はコロナの流行の中…

論理や言語の規則

少々意外かもしれないのですが、「論理、Logic」という言葉は日常よく使われ、よく聞きます。それらが使われると、何かとても硬派の感じがして、難しい理屈の話だという印象を与えてしまうようです。実は、その日常的な使い方のほとんどは論理学を知っている…

ハクチョウゲ(白丁花)

ツゲとは無関係なのに、ツゲに劣るものとして命名されたのがイヌツゲ。遠目に生垣のイヌツゲの花かと見えたのだが、近づくとやはり花の形が違う。イヌツゲに似たものを探すと見つかったのがこのハクチョウゲ。一見するとイヌツゲのようだが、初夏に緑の葉の…

実効再生産数、陽性率など…

緊急事態宣言の延長についての国や専門家会議は具体的な数値を使って説明しなかった。そのため、延長の理由も、延長の期限も、いつどのような条件が満たされるなら宣言が解除されるかも曖昧なままで、そのため一層数値化された目標も定まらない。だが、より…