2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

実在や情報を巡って:雑感

実在について量子力学はおよそ次のように考えます。(1) 測定前の電子のスピンや光子の偏光の量子状態は未確定である。(2) 測定によって量子状態が確定し、実在化する。(3) 測定値は特定の値の中からランダムに生じる。(4) その確率は波動関数ψの絶対値の2乗…

キカラスウリ

東京の湾岸部は埋立地である。そんなところの自然など貧弱に決まっている、というのが通り相場の意見だが、そんな常識が通用しないのが自然の不思議なところ。埋立地の湾岸地域を侮ることなかれで、意外に豊かな自然が顔を見せている。今日の主役はキカラス…

好奇心旺盛な子供の疑問、あるいは禁断の疑問

人だけでなく、どんな動植物も、みんな生きている限り、「生きる」ために一生懸命であり、生きることを肯定的に見ることに疑問の余地はないと思われてきた。だが、一方には規則的な世代交代が繰り返され、生物の集団が維持され、社会が存続することへの期待…

ゴシキトウガラシ

トウガラシはナス科トウガラシ属の植物。日本ではタカノツメが有名だが、激辛のハバネロやタバスコもトウガラシ。また、ピーマン、シシトウ、パプリカなどもトウガラシの品種の一つ。トウガラシはメキシコと南アメリカ中央部原産で、ゴシキトウガラシ(五色…

スポーツと観客、風景と観光客など

スポーツはルールをもち、勝ち負けがゴール。行為のモデルとしてスポーツを捉え、観光も人の行為だとすれば、そこから何が見えてくるのか。それは本末転倒だと訝る向きもあろうが、それに抗して、一般的な行為をスポーツや観光によって解釈してみよう。 関心…

トケイソウ

既にトケイソウを取り上げたが、まだ夏の名残で咲いていた。トケイソウ(時計草、パッションフラワー、passion flower)はトケイソウ科トケイソウ属の植物の総称。名前のように壁掛けの時計盤のような花をもつ。画像には花、蕾、小さな丸い実が見えるが、実…

連続性と無限

運動変化の連続性、平たく言えば、スムーズな運動変化、途切れることのない、流れるような運動変化は私達にはお馴染みの変化であり、殊更珍しいものではない。それどころか、不連続な変化の方が珍しい変化だと映る。だから、不連続な変化は感覚知覚的でない…

夏から秋へ変わる

久し振りに台風が首都圏を襲い、千葉県の一部はまだ停電が続いている。湾岸部は雨より風が強く、樹木が倒れ、大きな枝があちこちに落下していた。台風が過ぎ、急に季節が変わったような印象をもつのは私だけではないだろう。相変わらず暑いが、秋が来ようと…

人間による人間自身に対する偏見:修正版

人間は「理性的で、倫理や道徳をもって行動する動物である」と伝統的に捉えられてきました。これを言い換えるなら、「人間は信念と欲求をもち、合理的で倫理的な行動をするシステムである」というお馴染みの表現になります。そこで、人間の倫理や道徳の萌芽…

センダン

豊洲駅から豊洲市場へと延びる都道484号線の両側にはセンダン(栴檀)が街路樹として植えられている。センダンはセンダン科センダン属に分類される落葉高木。センダンと聞くと、「栴檀は双葉より芳(かんば)し」という謂い回しを思い出すが、残念ながらこの…

非常識な粒子と時空

昨日の「量子の世界の非常識」では次のように述べました。 「(3)宇宙を作る単位となる粒子(「particle、粒子」は文字通りの粒ではなく、比喩的な表現)が存在し、同種の粒子は全く区別ができず、本質的に同じものなのです。つまり、私たちは粒子を識別す…

キバナコスモス

原産地はメキシコで、コスモスより標高の低い標高1600m以下の地域に住み分けて自生する。18世紀末にスペイン・マドリードの植物園に送られ、ヨーロッパに渡来した。日本には大正時代の初めに渡来。コスモスの仲間で、かつ、黄色っぽい花が咲くので、「黄花コ…

量子の世界の非常識

量子が存在するミクロな世界はとても奇妙な世界です。どのように奇妙なのかとなると、常識のマクロな世界に対して、非常識のミクロの世界と呼ぶことができます。その非常識さはどれもどんな怪奇小説より奇々怪々で、ミクロな世界では常識が通用しないのです…

へメロカリス

ヘメロカリスもゼンテイカ(禅庭花)も馴染が薄いが、「ニッコウキスゲ」の名前なら大抵の人は知っている。野生のニッコウキスゲ、ユウスゲやカンゾウ類を品種改良して生まれた園芸種がヘメロカリス。つまり、ニッコウキスゲはヘメロカリスの野生種だが、そ…

情景の断片

『万葉集』以来の花鳥風月の世界と生物学的な世界の微妙な違いは生物種の命名に影を落とし、表現の豊かさを生み出してきました。そして、その遺産を活用して、私たちは自然を詠み、知り、理解してきました。その断片の一つが今日の話題です。 夕方の化粧は想…

秋の実:ブドウとゴボウ

ブドウ科のエビヅルの古名は「エビカズラ」(葡萄蔓)。各地の野原や低い里山の林で普通に見かけ、秋にはブドウと同じで少し小さい果実の房をつける。果実は熟すと甘くなり、生で食べられ、果実酒にできる。 エビヅルは、秋にブドウのような黒い液果ができ、…

コガネタヌキマメ(小金狸豆)

コガネタヌキマメはタヌキマメと同じマメ科タヌキマメ属の一年草。原産地はインドなどの熱帯アジア。日本へはコヤシタヌキマメ(肥し狸豆)と同じく緑肥作物として導入され、九州や沖縄で野生化し、帰化している。緑肥作物とは、栽培している植物を収穫せず…

量子力学

運動変化の古典的描像(4)[古典物理学の総まとめ] 対象のどんな運動変化に対しても、私たちは不変の性質と変化する性質を区別することができます。また、すべての運動は変化が最小になるように起こります。 まず、十分に小さな対象あるいは粒子の不変的な…

ヤノネボンテンカ

ヤノネボンテンカは「矢の根梵天花」と書くが、アオイ科ヤノネボンテンカ属の常緑低木。南アメリカ原産で、渡来時期は不明。園芸種だが、逸出したものが野生化し、帰化している。名の由来は、矢尻型の葉を持つボンテンカであることから。「梵天花」はインド…

量子力学

運動変化の古典的描像(3)[対称性] あるものが見る人の観点から独立していて、誰が見ても同じと見做されるなら、そのものは対称的です。あるものが観点に依存し、再現不可能ならば、それについて私たちが互いに話すことは不安定で、確定した意味をもたな…

ハツユキソウ

昨年も9月の上旬にハツユキソウのことを書いた。初雪草とは何とも大正ロマンティックな、竹久夢二風の名前である。この名前の由来は画像を見れば納得できるのだが、夏や秋に初雪とは季節感に大いにズレを感じるのも確かである。 ハツユキソウはトウダイグサ…

ハマゴウ

草のように見えるが、実は木。私が住む湾岸地域は砂浜がほぼないのだが、それでも海の近くにその姿をよく見る。名前は「浜をはう」という意味らしい。葉を風呂に入れるといい香りがする。平安時代の文献『延喜式』、『本草和名』では蔓荊子(はまはふ)、波…

量子力学の哲学

「物理学の哲学」とは次のような研究プログラムを指しています。 ・哲学の問題を物理学を使って解く。 ・物理学の問題を哲学を使って解く。 このプログラムによれば、哲学は物理学を必要とします。しばしば哲学の問題は解くのに物理学を必要とします。また、…

トチノキ、あるいはマロニエ

最近は公園や歩道にトチノキをよく見ます。トチノキというと、私には栃の実、そして栃餅が思い浮かびます。 トチノキ属のマロニエ(西洋栃ノ木)は、16世紀にヨーロッパで街路樹として植栽することが流行し、一気に広まり、パリのシャンゼリゼ通りの並木道は…

量子力学の哲学

標準的な量子力学によれば、物理システムの時間発展(time evolution、物理的な対象が時間を通じて運動変化すること)を支配する自然法則が二つあると想定されています。 (1)シュレーディンガー方程式で表現される法則で、それは決定論的な特徴をもってい…

カワラナデシコ(河原撫子)

カワラナデシコはナデシコ科ナデシコ属の多年草。ナデシコは秋の七草の一つで、カワラナデシコの別名。また、ヤマトナデシコ(大和撫子)ともいう。日本、中国、朝鮮半島、台湾に分布し、日本でも各地に自生している。万葉の時代から愛されてきた花で、可愛…

スポーツ哲学に向けての素描

スポーツは行為や行動の一つであり、スポーツの運動行為を雛型にして一般的な行為を考えることができるのではないか、というのが始まり。行為のモデルとしてスポーツ、運動を取り上げてみようという訳である。つまり、スポーツや運動こそが人の行為の集約で…

シコンノボタン(紫紺野牡丹)

シコンノボタンは、ノボタン科ティボウキナ属の常緑低木。ブラジル原産で、別名スパイダーフラワー。10本の雄しべのうちの5本が長く、葯(雄しべの花粉を入れる袋)が節のように曲がっているため。 濃い紫の比較的大きな美しい花をつける。ノボタンとは雄し…