2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

忘却の功罪

(1)忘却の代表となれば認知症。その認知症の中核をなす症状が忘却という記憶障害。普通の物忘れと違って、認知症の記憶障害の特徴は、「記銘力低下」、「全体記憶の障害」、「記憶の逆行性喪失(現在から過去に向けて記憶を失っていく)」である。肝心な点…

ツバキ

ツバキ(椿、海柘榴)またはヤブツバキ(藪椿、Camellia japonica)は、ツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹。私は光沢のある濃い緑の葉が好きで、花は好きになれないのだが、その葉が名前の由来になっているようである。厚みのある葉の意味で「あつば木」、つやや…

記憶の干渉を起こすもの

まずは復習。私たちの記憶は、情報の記銘、保持、再生の三段階からなる。加齢による物忘れは再生の機能が低下することによって起こり、覚えていることを思い出すまでに時間がかかるようになる。そのため「約束したこと」や「通帳をしまったこと」自体は覚え…

アロエ

アロエはツルボラン亜科アロエ属の総称。南アフリカ共和国からアラビア半島まで広く分布し、日本には鎌倉時代に伝来したとされる。今はキダチアロエが九州、瀬戸内海、伊豆半島、房総半島などの海岸に帰化している。よく見るのはキダチアロエ、そしてアロエ…

自由意思雑感

「男心と秋の空」、「男の心と川の瀬は一夜に変わる」といった格言の「男」を「女」に取り換えても、同じように成り立つためか、今では「女」もよく使われ、「女心と秋の空」も立派に市民権を得ている。「わからぬは夏の日和と人心」とあるように、男心でも…

市場の移転

日本橋と江戸橋の間、日本橋川の北岸ににあった魚市場が魚河岸。17世紀の初めに開設され、1935年に築地市場へ移転するまで300年以上続いた。魚河岸は日本橋地域に1656年まであった「吉原遊郭」や1842年まであった「歌舞伎小屋」とともに「一日千両」と称され…

記憶を知れば、それを書き換えたくなる

嫌なことは忘れ、いい思い出だけ残しておきたい。それが脳科学の進歩によって実現可能となるとしたら、あなたはどうするでしょうか。身体の病気を治すように心の病気を治すことに異を唱えなければ、記憶の書換えが治療の有力候補になってきます。 自分の体験…

雪の中の鮭、鰤、鱈

日本海側が大雪だと聞くといつも連想されるのは鮭(さけ)、鰤(ぶり)、鱈(たら)という冬の魚トリオ。それらが魚屋の雪の上に並べられている姿が浮かび上がってくる。鰤と鱈は一尾丸ごと、鮭は切り身で並んでいた。まだバナナが貴重品だった頃で、新潟の…

東光丸と選手村

東光丸(とうこうまる)は、水産庁が運用している漁業取締船(fisheries inspection)。1971年就航の老朽化した二代目東光丸の代船として建造され、1996年に就航。遠洋海域での国際漁業に従事する漁船の指導取締が主な任務である。海洋資源の管理が国際的に…

冬のユリ:二つの謎

ユリを好きな人は多いようなのですが、私は何故だかユリが苦手。そんな中で嫌いでないと思えるのはテッポウユリ。テッポウユリの花は、画像のようにラッパに似た筒状の花を横向きに咲かせます。画像のユリは冬のためか元気がない感じです。テッポウユリの花…

ハボタン

ハボタンはアブラナ科アブラナ属の多年草で、キャベツやブロッコリーの仲間。寒くなるにつれ色づく葉を冬から春にかけて観賞する植物で、今あちこちで見ることができる。名前の由来は葉を牡丹に見立てたもの。ヨーロッパ原産で、日本には江戸時代に食用とし…

記憶に関する二例

超人的な記憶力を生得的にもつことは私たちには夢であるように見えるのですが、スーパーマンにはスーパーマンの悩みがあるように彼らにも似た悩みがあるようです。(1)サヴァン症候群 サヴァン症候群は、自閉症スペクトラムなどの発達障害がありながらも突…

シクラメン

パンジーと並んでシクラメンは冬の代表格の花。サクラソウ科シクラメン属に属し、地中海地方が原産。シクラメンは多年草の球根植物の総称である。昔は花ではなく、塊茎の澱粉が注目され、有毒にもかかわらず「アルプスのスミレ」と呼ばれて食用となっていた…

消防出初式

出初式は毎年のことで新鮮味は乏しいのですが、火事だけでなく災害全般を考えると、地球の温暖化も地震もいつ何が起こってもおかしくない状況にいるのは確かです。そんな心配とは別に、出初式は新年恒例の晴れ晴れしい行事であり、災害の不安と裏腹の関係に…

オオキバナカタバミ

オオキバナカタバミ(大黄花片喰)は、冬から秋にかけてカタバミによく似た黄色い大きな花を咲かせます。カタバミ科カタバミ属の多年草で、葉は根生葉だけで緑色地に紫褐色の斑点が点在します。オオキバナカタバミとカタバミの異なる点は、オオキバナカタバ…

記憶することの不具合:二つの忘れ方

記憶についての知識を再確認しておきましょう。「記憶する」という過程は「記銘、保持、想起」の三段階からなっています。あるいは、過去の経験を「符号化、貯蔵。検索」の三段階に分けて記憶することです。「記銘」は外部の刺激がもつ情報を意味に変換して…

閑話:私たちは知り、憶え、忘れ、そして思い出す

人は学習する。人は何かを知り、憶える。人は憶えたものを知識や記憶として保ち、使う。それだけなら雑音は聞こえないのだが、人は忘れる。思わず忘れるだけでなく、時には意図的に忘れようとする。自ら憶えたくせに、人は忘れる。時にはそれが不好都合を引…

カネノナルキ

カネノナルキ(金のなる木)と聞いて、随分と現実的で、直接的な名前だと思ったのを憶えている。かつてはあちこちで見掛けたのだが、最近はすっかり見なくなった。ベンケイソウ科クラッスラ属の多肉植物。園芸名でカゲツ(花月)、和名でフチベニベンケイ(…

憶える、忘れる、そして知る(後)

(三) 大学に入って最初の夏休みに読んだのがアルベール・カミュの随筆『シーシュポスの神話』(Le Mythe de Sisyphe)。神を欺いたシーシュポスは彼らの怒りを買い、大きな岩を山頂まで運ぶという罰を受けた。彼は神々の命令通りに岩を運ぶのだが、山頂に…

憶える、忘れる、そして知る(前)

(一) プラトンの『ソクラテスの弁明』はソクラテスの思想が形成された直接のきっかけを語っている。彼の弟子のカイレフォンが、デルポイにあるアポロンの神託所で巫女に「ソクラテス以上の賢者はあるか」と尋ねたところ、その答えは「ソクラテス以上の賢者…

ガーデンプリムラ

ガーデンプリムラはプリムラの新しい品種群。その特徴は花茎が伸びて花がたくさん咲くこと。これまでのプリムラ類と比較して寒さに強いとされている。背が高めなので、寄せ植えにも適しているのがガーデンプリムラ「アラカルト シュシュ」(画像)。晩秋から…

閑話:日常的な時間の矢(Time's Arrow)(2)

生活世界で成り立つ「因果性の原理」は「時間の矢」とほぼ似た内容を主張しています。原因Aは結果Bに時間的に先立ち、「AならばB」という言明によって原因と結果の関係が表現されます。私たちの生活世界では法律、政治、経済等々を含め、ほぼすべての分野で…

正月の海王丸

海王丸(かいおうまる)は、海技教育機構が保有する練習帆船です。いつも正月は有明北埠頭に係留されています。姉妹船の日本丸と並んで日本を代表する帆船です。帆船など見る機会がめっきり減った昨今、見ていると茶器や日本刀を見るときの心持ちに似てくる…

パンジー マトリックスレモン

パンジーは花壇の常連で、12月に入ると一斉に植えられ、冬から春にかけて咲き誇る。パンジーはスミレの仲間で、日本に伝わったのは江戸時代。その時、パンジーの花が人の顔のように見えるということから、「人面草(じんめんそう)」と呼ばれていた。また、…

閑話:日常的な時間の矢(Time's Arrow)(1)

私は過去を使って未来を知る私は知識を使って未来を知る 上の二つの文は多くの人が納得するもので、知識が過去に得たものであることを考えれば、いずれも知ることに関する時間の矢の存在を示しています。というのも、次の文を正しいと判断する人はまずいない…

スイートアリッサム

スイートアリッサムは和名がニワナズナ(庭薺)、ニオイナズナ(匂薺)で、ほのかな甘い香りがあり、地中海沿岸原産のアブラナ科ロブラリア属の這性耐寒性一年草「アリッサム」の園品種である。草丈15cmくらいで、地際でよく分岐する。葉は全縁で、長さ2〜3c…

新年おめでとうございます

白富士とアリッサムが今年のスタート。残念ながら元旦の富士は雲に隠れて見ることができず、画像は大晦日の富士。雪の富士に似合うのは何かと探せば、手元にあるのがアリッサムの画像。今年も望遠鏡や顕微鏡の助けを借りて、色んなことを考えていきたい。 夏…